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Self-monitoring of blood glucose in patients with type 2 diabetes mellitus who are not using insulin.
最終更新日:2012年3月22日
タイトル
インスリン非使用の2型糖尿病では自己血糖測定の効果はない
著者
Malanda UL, et al.
掲載誌
Cochrane Database Syst Rev. 2012 Jan 18;1:CD005060.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):インスリンを使用していない2型糖尿病患者
I(介入):自己血糖測定(SMBG)
C(比較対照):SMBG非使用,自己尿糖検査
O(アウトカム):血糖管理・QOL・満足度は改善するか?
I(介入):自己血糖測定(SMBG)
C(比較対照):SMBG非使用,自己尿糖検査
O(アウトカム):血糖管理・QOL・満足度は改善するか?
研究方法
デザイン:メタアナリシス(無作為化比較試験12件・総人数3259人)
盲検化:なし
追跡期間:26から52週間
盲検化:なし
追跡期間:26から52週間
結果
糖尿病罹患歴1年以上の患者では,SMBG導入群では対照群と比較して6ヶ月間は有意な血糖低下を認めたが,12ヶ月後には有意な低下は認めなかった.QOL・満足度には有意差はなかった.SMBG群ではドロップアウト率が高い傾向だった.
アウトカム | 報告数 | 参加者数 | 2群差 | 95%信頼区間 |
---|---|---|---|---|
HbA1c(6ヶ月後) | 9件 | 2324人 | -0.30% | -0.4から-0.1% |
HbA1c(12ヶ月後) | 2件 | 493人 | -0.10% | -0.3から-0.04% |
コメント
1型糖尿病やインスリン使用中の2型糖尿病ではSMBGの効果が認められているがインスリン非使用の2型糖尿病での効果は不明であった.本研究はHbA1cを1次エンドポイントとした無作為化比較試験のメタアナリシスであり,妥当性は高い.
合併症や死亡などの臨床アウトカムへの影響については不明だが,罹患の長い2型糖尿病患者に一律にSMBGを課すことは現時点では適正とは言えない.ほぼ同時期に発表された他のメタアナリシスでも同様の結果であった(*).費用対効果評価を含めた長期的研究が切望される.
合併症や死亡などの臨床アウトカムへの影響については不明だが,罹患の長い2型糖尿病患者に一律にSMBGを課すことは現時点では適正とは言えない.ほぼ同時期に発表された他のメタアナリシスでも同様の結果であった(*).費用対効果評価を含めた長期的研究が切望される.
備考
*BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e486