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Long-term lifestyle intervention lowers the incidence of stroke in Japanese patients with type 2 diabetes: a nationwide multicentre randomised controlled trial (the Japan Diabetes Complications Study).
最終更新日:2012年12月11日
タイトル
生活習慣介入により2型糖尿病の脳卒中発症率は減少する(日本人)
著者
Sone H, et al.
掲載誌
Diabetologia. 2010;53:419-28.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):大血管症を有さない日本人2型糖尿病患者(総数2033人・男性53%・年齢59歳・平均HbA1c 7.9%)
I(治療):生活習慣介入(標準的ケアに加え,食事・運動に関する教育,電話による服薬遵守確認)
C(比較対照):標準的ケア
O(アウトカム):脳卒中のリスクは減少するか?
I(治療):生活習慣介入(標準的ケアに加え,食事・運動に関する教育,電話による服薬遵守確認)
C(比較対照):標準的ケア
O(アウトカム):脳卒中のリスクは減少するか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:なし
追跡期間7.8年間(中央値)・追跡率73%
ITT解析:なし(8年間追跡可能であった1304人を対象に解析)
盲検化:なし
追跡期間7.8年間(中央値)・追跡率73%
ITT解析:なし(8年間追跡可能であった1304人を対象に解析)
結果
脳卒中発症数は90件であった.追跡期間中,体重・血糖・脂質・血圧は両群間で有意差がなかった.生活習慣介入により脳卒中罹患率は有意に低下したが冠動脈疾患・網膜症・腎症の発症率に有意差はなかった.ドロップアウトは介入群(24%)の方が標準群(31%)より低値であった.
アウトカム | 調整ハザード比 | 95%信頼区間 | p値 |
---|---|---|---|
脳卒中 | 0.62 | 0.39から0.98 | 0.04 |
コメント
この研究は,日本人糖尿病患者を対象とした介入研究である点で臨床的意義がある.介入により脳卒中の発症が抑制されることが示されたが,リスクファクターや検査値そのものには影響がなかった.機序の究明が切望されるが,「治療の対象は患者であり検査値ではない」という臨床の原則を再認識させられる.
ただし,追跡率が著明に低いこととITT解析がされていないことからバイアスが大きい可能性があり,割り引いて解釈すべきである.
ただし,追跡率が著明に低いこととITT解析がされていないことからバイアスが大きい可能性があり,割り引いて解釈すべきである.
備考
*BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e486