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Television viewing and risk of type 2 diabetes, cardiovascular disease, and all-cause mortality: a meta-analysis.
最終更新日:2011年8月1日
タイトル
長時間のテレビ視聴により2型糖尿病・心血管疾患・総死亡率が増加する
著者
Grontved A, et al.
掲載誌
JAMA. 2011;305:2448-55.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):欧米豪の成人
I(条件):1日あたりのテレビ視聴2時間増加ごと
C(比較対照):直前群
O(アウトカム):2型糖尿病・心血管疾患・総死亡の発症率は影響されるか?
I(条件):1日あたりのテレビ視聴2時間増加ごと
C(比較対照):直前群
O(アウトカム):2型糖尿病・心血管疾患・総死亡の発症率は影響されるか?
研究方法
デザイン:メタアナリシス(コホート研究・全8件・年齢20から89歳)
盲検化:なし
追跡期間:6-21年
盲検化:なし
追跡期間:6-21年
結果
各エンドポイントとも有意にリスクが増加した.2型糖尿病と心血管疾患のリスクは直線的に増加したが総死亡リスクは1日視聴時間3時間以下では増加傾向はなかった.
アウトカム | 報告数(対象者数) | 発症数/追跡人年 | 相対リスク(2時間/日増加ごと) | 絶対リスク増加 |
---|---|---|---|---|
2型糖尿病 | 4(175938) | 6428/110万人年 | 1.20(1.14-1.27) | 176/10万人年 |
心血管疾患 | 4(34253) | 1052/(一部報告なし) | 1.15(1.06-1.23) | 38/10万人年 |
総死亡 | 3(26509) | 1879/20万人年 | 1.13(1.07-1.18) | 104/10万人年 |
コメント
テレビの長時間視聴は生活習慣病のリスクとして提唱されてきているが,この研究では生活習慣病およびその予後をメタアナリシスで用量-反応解析し,絶対リスク増加も推算している点で斬新である.
この研究上の限界点としては,子供への適用性が不明であること,交絡因子が多数であること(視聴中の飲食やインターネットなど他メディア利用については不詳),テレビ番組やコマーシャルの内容が不明であること,糖尿病の診断が自己申告であるため妥当性が高くはないこと,などである.また,テレビ視聴時間を制限すれば各リスクが減少するか不明である(例えば,テレビ視聴の代わりに間食量が増加するかもしれない).これらの限界にもかかわらず,生活習慣病や死亡リスクを評価する上でテレビ視聴時間の影響が大きいことが確証された点で社会的意義が大きいであろう.
この研究上の限界点としては,子供への適用性が不明であること,交絡因子が多数であること(視聴中の飲食やインターネットなど他メディア利用については不詳),テレビ番組やコマーシャルの内容が不明であること,糖尿病の診断が自己申告であるため妥当性が高くはないこと,などである.また,テレビ視聴時間を制限すれば各リスクが減少するか不明である(例えば,テレビ視聴の代わりに間食量が増加するかもしれない).これらの限界にもかかわらず,生活習慣病や死亡リスクを評価する上でテレビ視聴時間の影響が大きいことが確証された点で社会的意義が大きいであろう.
備考
(*)Diabetes Care. 2007;30:1374-83