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Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians.
最終更新日:2011年7月4日
タイトル
アジア人で総死亡率が最も低いBMIは22.6~25.0である(日本人を含む)
著者
Zheng W, et al.
掲載誌
N Engl J Med. 2011;364:719-29.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):アジア人(7カ国総数1,141,609人・日本人437,004人・平均年齢54歳・男性47%・平均BMI22.9・喫煙率34%)
I(条件):低BMI(≦22.5)および高BMI(≧25.1)
C(比較対照):BMI22.6から25.0
O(アウトカム):総死亡リスクは?
I(条件):低BMI(≦22.5)および高BMI(≧25.1)
C(比較対照):BMI22.6から25.0
O(アウトカム):総死亡リスクは?
研究方法
デザイン:コホート研究
追跡期間:平均9.2年間
追跡期間:平均9.2年間
結果
総死亡数は120,758人であった.日本人を含む東アジア人の総死亡率は低BMI層・高BMI層とも高値であった.インドとバングラディッシュでは低BMI層で総死亡が増加したが高BMI層では増加はなかった.
癌死や心血管死も同様の傾向であった.また,喫煙者を除外した解析もいずれも同様の結果であった.
癌死や心血管死も同様の傾向であった.また,喫煙者を除外した解析もいずれも同様の結果であった.
ハザード比(95%信頼区間) | BMI≦22.5 | BMI22.6から25.0 | BMI≧25.1 | |
---|---|---|---|---|
東アジア | 1.18 (1.14から1.22) | 1 | 1.06 (1.04から1.08) | インド・バングラディッシュ |
1.16 (1.12から1.21) | 1 |
コメント
この研究は,アジア人を対象とした大規模調査に基づき,東アジアとアジア他地区で比較している点で社会的意義が大きい.また,体重減少を来す交絡因子となる喫煙者や基礎疾患の可能性がある人(データ略)を除外して解析している点で臨床的意義も大きい.
インド・バングラディッシュで肥満者での死亡リスク増加を認めなかった点に関しては以下の可能性が考えられる.喫煙の影響(自己申告なので完全には調整できない),人種差,肥満による骨折リスク(死亡リスクと相関あり)減少,経済ステータス(裕福なほど肥満になりやすいが医療サービスも享受しやすい)など.
インド・バングラディッシュで肥満者での死亡リスク増加を認めなかった点に関しては以下の可能性が考えられる.喫煙の影響(自己申告なので完全には調整できない),人種差,肥満による骨折リスク(死亡リスクと相関あり)減少,経済ステータス(裕福なほど肥満になりやすいが医療サービスも享受しやすい)など.
備考
(*)Diabetes Care. 2007;30:1374-83