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The influence of study characteristics on reporting of subgroup analyses in randomised controlled trials: systematic review.

最終更新日:2011年7月4日

タイトル

製薬企業がスポンサーの臨床試験では,1次エンドポイントがネガティブ場合はサブグループ解析結果を慎重に解釈すべきである

著者

Sun X, et al.

掲載誌

BMJ. 2011;342:d1569. doi: 10.1136/bmj.d1569.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(対象):2007年に118の主要な医学誌に掲載された無作為化比較試験(469件)
I(条件):製薬企業がスポンサー
C(比較対照): 製薬企業以外がスポンサー
O(アウトカム): サブグループ解析の報告率や設定法に相違はあるか?

研究方法

デザイン:システマティックレビュー

結果

207件(44%)でサブグループ解析が報告されていた.Ann Intern Med・BMJ・JAMA・Lancet・N Engl J Medの5誌(OR2.64),外科以外の医学誌(OR2.10),サンプル数が大きい試験(OR3.38)ではサブグループ解析報告がそれぞれ有意に多かった.1次エンドポイントがネガティブの試験では,製薬企業がスポンサーの場合のほうがサブグループ解析結果報告が有意に多かったが,1次エンドポイントがポジティブの試験では有意な傾向はなかった.さらに,製薬企業がスポンサーの試験では試験開始前にサブグループ解析を設定していることが有意に少なかった.
製薬企業がスポンサーの臨床試験オッズ比95%信頼区間
1次エンドポイントがネガティブの試験でのサブグループ解析報告 2.29 1.30から4.72
1次エンドポイントがポジティブの試験でのサブグループ解析報告 0.79 0.46から1.36
サブグループ解析の試験開始前設定 0.49 0.26から0.94

コメント

製薬企業がスポンサーの臨床研究では,1次エンドポイントに有意差を認めなかった場合(ネガティブスタディ)は,発表される確率が低かったり2次エンドポイントやサブグループ解析の有意な結果とすりかえて(情報操作)発表したりする傾向があることは以前から指摘されており(*),解釈時に慎重であるよう警告されてきている.この研究は,近年の主要誌を対象に系統的に解析した点で診療上の意義が大きい.
研究で検証できる仮説は1次エンドポイントだけであり,2次エンドポイントは仮説を提唱・探求するオマケである(**).2次エンドポイントを1次エンドポイントとして試験をやり直すと結果が異なることも少なくない.また,サブグループ解析の本来の目的は有意差のある対象者を探し出すことではなく,1次エンドポイント結果の普遍性・汎用性を検証することである.さらに,いずれの解析も試験開始前に設定し,試験開始後は変更しないことが原則である.試験開始後のエンドポイント改変や後付け解析は「後出しジャンケン」として妥当性が低い.朝三暮四とならないように肝に銘じたい.

備考

(*) JAMA 2010;303:2058-64.
(**)臨床統計ライブスタイル.山崎力.SCICUS 2009年.

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