Low serum potassium levels and risk of type 2 diabetes: the Toranomon Hospital Health Management Center Study 1 (TOPICS 1).

P(患者)：日本の健常者 (総数4409人・平均年齢48歳・男性100％・平均BMI23.1)
I(条件)：血清カリウム値4.0mEq/l未満・4.0から4.1mEq/l各群
C(比較対照)：血清カリウム値4.2から5.4mEq/l群
O(アウトカム)：2型糖尿病発症の発症リスクは？

デザイン：コホート研究
盲検化：なし
追跡期間：中央値5年間(4回以上検診受診者対象)

全体で250人が糖尿病を発症した.追跡開始時の空腹時血糖値には群間差がなかった.血清カリウム値は糖尿病発症率と負の有意な相関があった。血清カリウム値0.5mEq/l低下ごとに糖尿病発症リスクは45(12から87)%増加した．

アウトカム	血清カリウム値4.0mEq/l未満群	4.0から4.1mEq/l群	4.2から5.4mEq/l群
調整ハザード比	1.57	1.17	1	95％信頼区間
1.15から2.15	0.87から1.58

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近年,アメリカ人対象の同様の報告が発表された(*)が,日本人にも同様の結果が得られた点で斬新である．また,高血圧患者では利尿薬投与による低カリウム血症が糖尿病リスクを高めることが報告されているが,本研究では高血圧患者を除外している点で臨床的意義が大きい．
血清カリウム値は膵β細胞からのインスリン分泌に影響すると考えられているが,この研究ではインスリン値が測定されていないため,因果関係の立証と機序の究明ができない点に留意する必要がある．また,観察研究であるためカリウム摂取量（食事やサプリメント）調整による糖尿病リスク減少効果は不明である．さらに,2万人以上の検診受診男性のうち,4回以上受診した人のみを対象としているためバイアスが大きく,一般性に乏しい可能性が高い．

(*) Arch Intern Med. 2010;170:1745-51. http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=374