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Effects of intensive blood-pressure control in type 2 diabetes mellitus.

最終更新日:2013年11月15日

タイトル

厳格な血圧管理による心血管イベント予防は無効

著者

ACCORD Study Group

掲載誌

N Engl J Med. 2010;362:1563-74(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):40-79歳の北米2型糖尿病患者でHbA1c≧7.5%・心血管疾患ハイリスク(既往あり,または55歳以上でリスクファクターあり)・収縮期血圧130-180mmHg・24時間タンパク尿<1グラム(平均年齢62歳・男性52%)
I(治療):収縮期血圧(到達値)<120mmHg(2362人)
C(比較対照):収縮期血圧(到達値)<140mmHg(2371人)
O(アウトカム):心血管イベント・総死亡は減るか?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験(ACCORD)
盲検化:なし
追跡期間:平均4.7年・追跡率99%

結果

到達収縮期圧は厳格管理群では119.3mmHg(降圧薬3.1剤使用),標準群では133.5mmHg(降圧薬2.1剤使用)であった.1次エンドポイントと総死亡に有意差はなかった.厳格管理群では脳卒中発症とタンパク尿出現の低下が示唆されたが重篤な有害事象は有意に多かった.
アウトカム血圧厳格管理標準管理相対リスク(厳格vs標準)有意差
非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・心血管死亡 1.87% 2.09% 0.88 95%信頼区間:0.73から1.06
総死亡 1.30% 1.20% 0.93 95%信頼区間:0.65から1.15
重篤有害事象 3.30% 1.30% - p<0.001

コメント

この研究は盲検化されていない点を除き妥当性が高く,最も厳格な管理がベストとは限らないことを実証した点で臨床的意義は大きいであろう.実際,国内外のガイドラインで推奨されている血圧管理目標値は疫学的観察研究に基づいたものであり,本研究のような介入研究の結果は必ずしも合致しない.重篤有害事象の発生率・増加度とも1次エンドポイントと比較して高値である点からも無闇な降圧は避けるべきである.
ただし,標準管理とのリスク差は僅差でありこの結果だけをもとに「血圧厳格管理は不要」というのではなく、「高血圧は下げるべきだが高リスク患者では下げすぎても付加価値は期待できない」と解釈すべきであろう.
また,血圧厳格管理による脳卒中発症とタンパク尿出現の低下が示唆されたが,これらの評価項目は仮説を提唱するオマケであることに気をつけたい.

備考

(*) Arch Intern Med. 2010;170:1745-51. http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=374

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