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Serum and dietary potassium and risk of incident type 2 diabetes mellitus: The Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) study.

最終更新日:2011年4月5日

タイトル

血清カリウム値が高いほど糖尿病発症リスクが低下する可能性がある

著者

Chatterjee R, et al.

掲載誌

Arch Intern Med. 2010;170:1745-51.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):アメリカの非糖尿病者(総数12209人・平均年齢54歳・男性53%・平均BMI27.2)
I(条件):血清カリウム値4.0mEq/l未満・4.0-4.4mEq/l・4.5-4.9mEq/l各群
C(比較対照):血清カリウム値5.0-5.5mEq/l群
O(アウトカム):2型糖尿病発症の発症リスクは?

研究方法

デザイン:コホート研究(現在進行中のARIC研究の一部)
盲検化:なし
追跡期間:9年間

結果

全体で1475人が糖尿病を発症した。空腹時インスリン値はカリウム値が低いほど高値であった。血清カリウム値は糖尿病発症率と負の有意な相関があった。さらに、サイアザイド利尿薬非服用者間でも負の相関関係があった。その後の8年間の追加追跡後も自己申告糖尿病発症率(全体)との相関は継続した。カリウム摂取量と発症率には有意な相関関係(調整後)がなかった。
アウトカム血清カリウム値4.0mEq/l未満群4.0-4.4mEq/l群4.5-4.9mEq/l群 
調整ハザード比 1.64 1.64 1.39 95%信頼区間
1.29から2.08 1.34から2.01 1.14から1.71    

コメント

サイアザイド利尿薬使用中の高血圧患者では低カリウム血症と耐糖能障害のリスクが増加することが報告されているが、多くは小規模データに基づいており、近年の大規模研究では一致した結果が出ていない。この研究はサイアザイド利尿薬を使用していない人でも血清カリウム値が低いほど糖尿病発症リスクが高いことを提示した点で斬新である。
この研究では血清カリウム値が低い群ほど高血圧患者・サイアザイド利尿薬使用者が多く、血清マグネシウム値が低値であったがそれらを調整しても糖尿病発症リスクは有意に高値であった。血清カリウム値は膵β細胞からのインスリン分泌に影響すると考えられているが、この研究では血清カリウムが低値であるほどインスリン値は高く、未知の他の機序の関与が考えられ、今後の追究が待たれる。
この観察研究を解釈する上での注意点は、血清カリウムと糖尿病の直接の因果関係が立証できない点と血清とカリウム値の調整によって発症リスクが軽減できるか結論出せない点である。カリウム摂取量(食事やサプリメント)の再評価も含め、追試が待たれる。

備考

(*)Ann Intern Med. 2010;152:380-90. Meta-analysis: excess mortality after hip fracture among older women and men. Haentjens P, et al.

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