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Magnesium Intake in Relation to Systemic Inflammation, Insulin Resistance, and the Incidence of Diabetes.
最終更新日:2011年2月8日
タイトル
マグネシウム摂取により糖尿病発症リスクが低下する可能性がある
著者
Kim DJ, et al.
掲載誌
Diabetes Care. 2010;33,2604-2610(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):アメリカの若年非糖尿病者(総数4497人・平均年齢24歳・男性47%・平均BMI24.5)
I(条件):マグネシウム摂取量第5五分位群(一日202ミリグラム)
C(比較対照):第1五分位群(一日100ミリグラム)
O(アウトカム):2型糖尿病発症は減少するか?
I(条件):マグネシウム摂取量第5五分位群(一日202ミリグラム)
C(比較対照):第1五分位群(一日100ミリグラム)
O(アウトカム):2型糖尿病発症は減少するか?
研究方法
デザイン:コホート研究(現在進行中のCARDIA研究の一部)
盲検化:なし
追跡期間:20年間
盲検化:なし
追跡期間:20年間
結果
全体で330人が糖尿病を発症した。マグネシウム摂取量最大群では最小群と比較して糖尿病発症率が有意に低下した。マグネシウム摂取量は高感度CRP,IL-6,フィブリノーゲン,HOMA-IRと有意な負の相関関係にあった(交絡因子調整後)。
アウトカム | 調整ハザード比 | 95%信頼区間 | p値(トレンド) |
---|---|---|---|
糖尿病 | 0.53 | 0.32から0.86 | <0.01 |
コメント
マグネシウムは穀物に多く含まれ、ブドウ糖代謝に関与しているが詳細な機序は不明である。過去の観察研究は主に高齢者を対象としており、マグネシウム摂取量と糖尿病発症リスクの関連については一致した結果が出ていなかった。この研究は若年者を対象とした前向き研究である点や炎症マーカー・インスリン抵抗性との関連も追究している点で臨床的意義が大きい。解析時の時点(対象者平均年齢は44歳)で約7%が糖尿病を発症したことになり、一般性も高いと考えられる。
しかし、1型糖尿病と2型糖尿病の鑑別がない点・全身炎症と糖尿病の直接の因果関係が立証できない点において割り引いて解釈する必要がある。また、マグネシウム摂取量を増やせば糖尿病リスクが減少するという結論までは出せない。この研究のサブグループ解析で、サプリメント使用者においてだけ有意な低下が示唆されていたことは予防医学や栄養病態学の観点から興味深く、追試が待たれる。
しかし、1型糖尿病と2型糖尿病の鑑別がない点・全身炎症と糖尿病の直接の因果関係が立証できない点において割り引いて解釈する必要がある。また、マグネシウム摂取量を増やせば糖尿病リスクが減少するという結論までは出せない。この研究のサブグループ解析で、サプリメント使用者においてだけ有意な低下が示唆されていたことは予防医学や栄養病態学の観点から興味深く、追試が待たれる。
備考
(*)Ann Intern Med. 2010;152:380-90. Meta-analysis: excess mortality after hip fracture among older women and men. Haentjens P, et al.