トップページ > 医師・医療スタッフの方へ > EBM論文情報
Eating fish and risk of type 2 diabetes: A population-based, prospective follow-up study.
最終更新日:2013年6月10日
タイトル
魚摂取により糖尿病発症リスクが増加する可能性がある
著者
van Woudenbergh GJ, et al.
掲載誌
Diabetes Care. 2009;32:2021-6.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):オランダの非糖尿病者(総数4472人・平均年齢67歳・男性40%・平均BMI26)
I(条件):魚摂取量最大群(一日28グラム以上)
C(比較対照):魚非摂取群
O(アウトカム):2型糖尿病発症は減少するか?
I(条件):魚摂取量最大群(一日28グラム以上)
C(比較対照):魚非摂取群
O(アウトカム):2型糖尿病発症は減少するか?
研究方法
デザイン:コホート研究
盲検化:なし
追跡期間:12年間(中央値)
盲検化:なし
追跡期間:12年間(中央値)
結果
一日の魚摂取量の中央値は10グラム(主に細魚)であった。全体で463人が糖尿病を発症した。魚摂取量最大群では糖尿病発症率が有意に増加した。EPAやDHAと糖尿病発症リスクとの有為な関連性はなかった。
アウトカム | 調整相対リスク | 95%信頼区間 | p値 |
---|---|---|---|
糖尿病 | 1.32 | 1.02から1.70 | 0.04 |
コメント
以前の前向き研究では魚摂取量と糖尿病発症の関連性は負や無相関であった。この研究デザイン自体は妥当性が比較的高いが、魚の種類の違い・調理法の違い・魚摂取量の違いなどから他国民への一般性は未知数である(日本人の摂取量は約70グラム/日)。
理論上は魚油により糖尿病発症抑制作用が期待されるが、環境問題の影響で水銀やセレンに汚染された魚を摂取するとインスリン分泌が低下して高血糖が引き起こされることが示唆されている。
過去のエビデンスも一致した結論に達しておらず、糖尿病予防のために魚の大量摂食を勧めることは根拠に乏しい。
理論上は魚油により糖尿病発症抑制作用が期待されるが、環境問題の影響で水銀やセレンに汚染された魚を摂取するとインスリン分泌が低下して高血糖が引き起こされることが示唆されている。
過去のエビデンスも一致した結論に達しておらず、糖尿病予防のために魚の大量摂食を勧めることは根拠に乏しい。