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Intensive versus conventional glucose control in critically ill patients.
最終更新日:2012年5月30日
タイトル
厳格な血糖管理により重症患者の死亡と低血糖のリスクが増加する
著者
NICE-SUGAR Study Investigators
掲載誌
N Engl J Med. 2009;360:1283-97(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):ICU入院中の重症患者(平均年齢60歳・男性63%・平均血糖値145ミリグラム/デシリットル・糖尿病20%)
I(治療):インスリン持続注入による血糖厳格管理:目標血糖値81-108ミリグラム/デシリットル(3054人)
C(比較対照):標準療法:目標血糖値<181ミリグラム/デシリットル(3050人)
O(アウトカム):90日後の死亡率は減少するか?
I(治療):インスリン持続注入による血糖厳格管理:目標血糖値81-108ミリグラム/デシリットル(3054人)
C(比較対照):標準療法:目標血糖値<181ミリグラム/デシリットル(3050人)
O(アウトカム):90日後の死亡率は減少するか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:なし
追跡期間:90日間・追跡率:99%
盲検化:なし
追跡期間:90日間・追跡率:99%
結果
血糖厳格管理群では死亡率・重症低血糖発作出現率とも有意に増加した。外科患者と非外科患者での有意な相違は認めなかった。
アウトカム | 厳格管理群 | 標準管理群 | 相対リスク増加(95%信頼区間) | 絶対リスク増加 |
---|---|---|---|---|
死亡率 | 28% | 25% | 10%(1から20) | 3.00% |
重症低血糖 | 6.80% | 0.50% | 1272%(720から2200) | 6.30% |
コメント
急性期ストレス下では血糖値が反応的に上昇する。高血糖は感染症や死亡のリスクを高めるが、血糖値を下げすぎても死亡が増加することが示された。十数年前に相次いで発表された同様の研究では死亡率の有意な低下が報告されていたが、糖尿病患者のみを対象とした研究が主体でベースラインの血糖値も目標血糖値も本研究より高値であった。その後の非糖尿病患者を含む多くの研究では厳格な血糖管理の有効性は認められていない。
このことから、以下の結論が導かれよう
- 急性ストレスに対する反応性高血糖を無理に低下させるのは危険である
- 低血糖の管理・対応が困難な一般病棟では一層危険性が高まるため厳格な血糖管理は推奨されない
- ただし、血糖厳格管理により血糖管理不良よりはアウトカムは改善する
ことから、「血糖管理は不要」というのではなく、「高血糖は下げるべきだが重症患者では下げすぎると危険である」と解釈すべきである。