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Effect of a multifactorial intervention on mortality in type 2 diabetes.

最終更新日:2012年5月30日

タイトル

多面的介入により2型糖尿病の死亡率は減少する可能性がある

著者

Gaede P, et al.

掲載誌

N Engl J Med. 2008;358:580-91.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):微量アルブミン尿を合併した2型糖尿病患者
 (平均HbA1c 8.4%・年齢55歳)
I(治療):多面的介入:目標HbA1c<6.5%,総コレステロール<175ミリグラム/デシリットル,中性脂肪<150ミリグラム/デシリットル,血圧<130/80mHg,etc(80人)
C(比較対照):標準療法(80人)
O(アウトカム):総死亡のリスクは減少するか?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験
盲検化:なし
追跡期間:7.8年間(Steno-2研究)の介入後、計13.3年の観察期間・追跡率:84-87%

結果

高リスク糖尿病患者では総死亡は有意に低下し、早期多面的介入の有効性が長期に持続することが示唆された。低血糖を含め、重大有害作用はほとんど報告されなかった。
アウトカム多面的介入群標準療法群オッズ比95%信頼区間/p値
総死亡率 30.00% 50.00% 0.54 0.32から0.89/p=0.02

コメント

この研究の介入期間部(Steno-2研究)の効果として、心血管イベント(心血管死や心血管疾患の複合エンドポイント)が有意に低下したことがすでに報告されている(*)。本研究により、その早期介入効果が総死亡低下にも著効を奏することが示唆された。Steno-2研究では盲検化されていない(技術的に不可能だが)点や、体重変化に両群間で有意差がなかった点などが妥当性を低下させうる点として指摘されていたが、さらに本研究は観察研究であるためバイアスが大きいことに留意し割り引いて読む必要がある(**)。さらに、肥満・高リスク西洋人が対象であるため日本人にも同程度の効果が期待できるかは不明である。しかし現時点ではbest available evidenceとして臨床的意義が大きいであろう。日本で現在進行中の類似介入研究J-DOIT3の結果およびその批評が切望される。

備考

(*)N Engl J Med. 2003;348:383-93.
(**)高市麻貴,後藤温,能登洋,野田光彦.糖尿病ハンドブック(中外医学社.2010年).152-9.

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