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Tight blood pressure control and cardiovascular outcomes among hypertensive patients with diabetes and coronary artery disease.

最終更新日:2011年2月8日

タイトル

厳格な血圧管理による心血管イベント二次予防は無効の可能性がある

著者

Cooper-DeHoff RM, et al.

掲載誌

JAMA. 2010;304:61-8.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):心血管疾患の既往がある50歳以上の2型糖尿病患者
 (平均HbA1c 不詳・平均年齢66歳・男性46%)
I(治療):収縮期血圧(到達値)<130mmHg(2255人)
C(比較対照):収縮期血圧(到達値)130mmHgから139mmHg(1970人)
O(アウトカム):心血管イベント(非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中)・総死亡は減るか?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験(INVEST:22576人)の後付けサブグループ解析
盲検化:なし(PROBE試験)
追跡期間:16893人年

結果

厳格な血圧管理(収縮期圧<130mmHg)によりアウトカムは不良管理(収縮期圧≧140mmHg)より改善したが、標準管理(収縮期圧130mmHgから139mmHg)よりわずかに悪化した。
アウトカム血圧厳格管理標準管理相対リスク(厳格vs標準)不良管理
非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・総死亡 12.70% 12.60% 調整ハザード比 1.11(95%信頼区間 0.93から1.32)p=0.24) 19.80%
総死亡 11.00% 10.20% 調整ハザード比 1.20(95%信頼区間 0.99から1.45)p=0.06) 15.40%

コメント

母研究(*)の妥当性は比較的高いが、この研究はそのサブグループ解析・後付け解析・糖尿病患者の特徴不明という点で妥当性は低い。しかし糖尿病患者での降圧介入という点では斬新であり意義が深い。一般には、厳格な血圧管理は脳卒中・網膜症・腎症予防には有用である。しかし本結果では心血管イベントや死亡についてのいわゆるJカーブが示唆されたが、近年の妥当性の高い介入研究結果(**)と一致するものであり臨床的意義は大きいであろう(最も厳格な管理がベストとは限らない)。ただし、血圧厳格管理により血圧管理不良よりはアウトカムは明確に改善し、標準管理とのリスク差は僅差であることから、「血圧厳格管理は不要」というのではなく、「高血圧は下げるべきだが高リスク患者では下げすぎても付加価値は期待できない」と解釈すべきであろう。

備考

(*)Pepine CJ, et al. A Calcium Antagonist vs a Non-Calcium Antagonist Hypertension Treatment Strategy for Patients With Coronary Artery Disease: The International Verapamil-Trandolapril Study (INVEST): A Randomized Controlled Trial. JAMA, Dec 2003; 290: 2805 - 2816.
(**)ACCORD Study Group. Effects of intensive blood-pressure control in type 2 diabetes mellitus. N Engl J Med. 2010;362:1575-85.

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