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Effect of intensive treatment of hyperglycaemia on microvascular outcomes in type 2 diabetes: an analysis of the ACCORD randomised trial.

最終更新日:2011年2月8日

タイトル

血糖を厳格に管理しても細小血管症のリスクは減少しない可能性がある

著者

ACCORD Study Group

掲載誌

Lancet. 2010;376:419-30.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):心血管疾患リスクの高い2型糖尿病患者
 (平均HbA1c 8.1%・年齢62歳(中央値))
I(治療):血糖強化療法(HbA1C <6.0%・5128人)
C(比較対照):標準療法(HbA1C 7.0-7.9%・5123人)
O(アウトカム):細小血管症(網膜症・腎症・神経障害)のリスクは減少するか?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験
盲検化:なし
追跡期間:3.7年(試験中止までの平均値)・追跡率:95%

結果

細小血管症全体としてはリスクは低下しなかったが微量アルブミン尿の発症や網膜症・神経障害の指標の一部は改善した。
アウトカム強化療法群での発症率標準療法群での進行率調整オッズ比95%信頼区間/p値
透析・腎移植・クレアチニン高値・光凝固・硝子体茎切除術 8.70% 8.70% 1 0.88から1.14/p=0.997
上記および末梢神経障害 31.20% 32.50% 0.96 0.89から1.02/p=0.195

コメント

UKPDSやKumamoto研究で実証されたような厳格な血糖管理による細小血管症予防効果は認めなかった。ACCORDではこれらの研究対象者と比較して動脈硬化進展者・高齢者・糖尿病長期罹患者を対象としているが、このような特徴の患者では血糖管理が厳格すぎると細小血管症の予防効果も薄れる可能性が示唆される。ただし追跡期間がUKPDS等より短い(総死亡増加により早期中止になったため)ために有意な差が検出できなかった可能性も否定できない。
この研究結果は「血糖厳格管理は不要」というのではなく、「高血糖は下げるべきだが高リスク患者では下げすぎても付加価値は期待できない」と解釈すべきであろう。いずれのアウトカムも二次エンドポイント(=仮説を提唱するオマケ)およびその細分評価であるため、無作為化比較試験等での追試が必要である。

備考

(*)Pepine CJ, et al. A Calcium Antagonist vs a Non-Calcium Antagonist Hypertension Treatment Strategy for Patients With Coronary Artery Disease: The International Verapamil-Trandolapril Study (INVEST): A Randomized Controlled Trial. JAMA, Dec 2003; 290: 2805 - 2816.
(**)ACCORD Study Group. Effects of intensive blood-pressure control in type 2 diabetes mellitus. N Engl J Med. 2010;362:1575-85.

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