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Type 2 diabetes mellitus after gestational diabetes: a systematic review and meta-analysis.
最終更新日:2011年2月8日
タイトル
妊娠糖尿病後は2型糖尿病発症のリスクが急増する
著者
Bellamy L, et al.
掲載誌
Lancet. 2009;373:1773-9.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):妊娠歴のある女性
I(条件):妊娠糖尿病の既往あり
C(比較対照):既往なし
O(アウトカム):妊娠後の2型糖尿病発症リスクは増加するか?
I(条件):妊娠糖尿病の既往あり
C(比較対照):既往なし
O(アウトカム):妊娠後の2型糖尿病発症リスクは増加するか?
研究方法
デザイン:メタアナリシス(前向き研究20件・全675,455人)
盲検化:なし
追跡期間:6週以上
盲検化:なし
追跡期間:6週以上
結果
全体で10859人が2型糖尿病を発症した。妊娠糖尿病後には2型糖尿病発症リスクが7倍以上に上昇した。サブグループ解析では、妊娠後経過が長いほど発症リスクが増加することが示唆された。
対象者 | 相対リスク | 95%信頼区間 |
---|---|---|
全体 | 7.43 | 4.79から11.51 |
追跡期間5年未満 | 4.69 | 2.84から7.75 |
追跡期間5年以上 | 9.34 | 3.42から25.54 |
コメント
このメタアナリシスでは妊娠糖尿病によりその後の2型糖尿病発症リスクが著明に増加することが示された。妊娠中は胎盤由来ラクトゲンの影響でインスリン抵抗性が増大し、血糖値が上昇する傾向にある。分娩後はその影響がなくなるため血糖値は速やかに低下することが多く、定期的なフォローがされないことが多いのが現状である。妊娠を期に糖尿病のリスクを認識、生涯にわたる定期的な血糖検査や糖尿病予防指導を行っていく体制が重要となるであろう。
なお、追跡期間が長いほど相対リスクが高い結果の解釈としては、
- 妊娠回数自体が糖尿病のリスクであること
- 加齢が糖尿病のリスクであること
- 受診機会が増えて糖尿病が発見されやすくなる
ことなどが挙げられる。
備考
(*)Pepine CJ, et al. A Calcium Antagonist vs a Non-Calcium Antagonist Hypertension Treatment Strategy for Patients With Coronary Artery Disease: The International Verapamil-Trandolapril Study (INVEST): A Randomized Controlled Trial. JAMA, Dec 2003; 290: 2805 - 2816.
(**)ACCORD Study Group. Effects of intensive blood-pressure control in type 2 diabetes mellitus. N Engl J Med. 2010;362:1575-85.
(**)ACCORD Study Group. Effects of intensive blood-pressure control in type 2 diabetes mellitus. N Engl J Med. 2010;362:1575-85.