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Association between adiposity in midlife and older age and risk of diabetes in older adults.
最終更新日:2011年2月8日
タイトル
中年・高齢期の肥満は高齢者糖尿病のリスクとなる可能性がある
著者
Biggs ML, et al.
掲載誌
JAMA. 2010;303:2504-12.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(対象者):65歳以上のアメリカ人(4193人・平均年齢73歳・男性41%・黒人10%)
I(条件):肥満の各指標第5五分位
C(比較対照): 各指標第1五分位
O(アウトカム): 糖尿病リスクは増減するか?
I(条件):肥満の各指標第5五分位
C(比較対照): 各指標第1五分位
O(アウトカム): 糖尿病リスクは増減するか?
研究方法
デザイン:コホート研究
追跡期間:12.4年間(中央値)
追跡期間:12.4年間(中央値)
結果
糖尿病罹患率は7.1人/1000人年であった。肥満の各指標に関してリスクは有意に増加した。中年期・高齢期の体重増加(各9キログラム・6キログラム以上)も有意なリスク(ハザード比2.8・2.0)であった。
肥満指標(抜粋) | 調整ハザード比 | 95%信頼区間 |
---|---|---|
BMI | 4.3 | 2.9から6.5 |
腹囲 | 4.2 | 2.8から6.2 |
腹囲/ヒップ比 | 2.4 | 1.6から3.5 |
コメント
比較的妥当性の高いコホート研究により、中年以降の肥満と糖尿病発症の関連性が示唆された。ただし、この解析では母研究(Caardiovascular Health Study)のある時点での空腹時血糖値または糖尿病治療薬投与によって糖尿病を診断しているため、無糖薬で血糖値が低下していた糖尿病患者が見落とされ、糖尿病発症が過小評価されている可能性がある。また、人種差・肥満度差のために日本人にそのまま適用できるか未知数である。しかし日本でも中年・高齢の肥満者が増加してきている現状を鑑みて公衆衛生学的に示唆に富んでいるといえよう。
備考
(*)Pepine CJ, et al. A Calcium Antagonist vs a Non-Calcium Antagonist Hypertension Treatment Strategy for Patients With Coronary Artery Disease: The International Verapamil-Trandolapril Study (INVEST): A Randomized Controlled Trial. JAMA, Dec 2003; 290: 2805 - 2816.
(**)ACCORD Study Group. Effects of intensive blood-pressure control in type 2 diabetes mellitus. N Engl J Med. 2010;362:1575-85.
(**)ACCORD Study Group. Effects of intensive blood-pressure control in type 2 diabetes mellitus. N Engl J Med. 2010;362:1575-85.