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メタボってなに?

2016年10月31日掲載2017年5月24日改定版掲載, 2019年11月6日再改定版掲載

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メタボ(メタボリックシンドローム)は運動不足や肥満などが原因となる生活習慣病の前段階の状態です。ここでは、メタボについて詳しくお話しします。
糖尿病の前段階である、糖尿病予備群については、糖尿病予備群といわれたらをご覧ください。

目次

メタボリックシンドロームってなに?

「メタボ」という言葉は、テレビや新聞、インターネットでもよく見かけると思います。メタボは「メタボリックシンドローム」の略で、糖尿病をはじめとする生活習慣病の前段階の状態を示すものです。具体的には糖尿病の境界型や、高血圧・脂質異常症・肥満などが、程度が軽くとも重なって起こると、糖尿病の発症ならびに心臓や血管の病気につながりやすいといわれています。
車社会やデスクワークが中心で運動不足となり、栄養が豊富な現代において、メタボの人が増えていることが問題となっています。

では、どんな方がメタボにあてはまるのでしょうか?

どんな人がメタボリックシンドロームなの?

メタボリックシンドロームは、内臓肥満に高血圧、脂質異常、高血糖などが合わさった状態のことをいい、図のような診断基準があります(図1:日本のメタボリックシンドロームの診断基準)。
一定以上の腹囲があることが内臓肥満の指標(へその高さで腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上)であり、必須項目となっています。これに加えて、血圧・空腹時血糖値・脂質(中性脂肪・HDLコレステロール)の基準のうちいずれか2つ以上があてはまると、メタボリックシンドロームの診断になります。

図1:日本のメタボリックシンドロームの診断基準

図1 日本のメタボリックシンドロームの診断基準 _12-2-01_02図1 日本のメタボリックシンドロームの診断基準_3

*腹囲は、男女ともに内臓脂肪面積 ≧100cm2に相当します。

太った状態には、内臓に脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満と、皮下組織に脂肪が蓄積する皮下脂肪型肥満があります。

内臓脂肪型肥満 腸管などの内臓の周囲に脂肪がたまりお腹がぽっこりする、男性に多い
皮下脂肪型肥満 二の腕・腰回り・おしりなどの皮下に脂肪がたまり、つまむことができる、女性に多い

メタボリックシンドロームはただ太っているだけではなく、内臓に脂肪が蓄積した状態をメタボリックシンドロームと呼びます。
内臓に蓄積した脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子やTNF-αやIL-6などの悪玉因子を分泌します。これら悪玉因子はインスリン抵抗性を引き起こし、高血糖になります。さらに脂質異常症、高血圧にもつながり、動脈硬化という血管の老化をおこしやすくします(図2:内臓脂肪の働きの違い(正常体型・内臓肥満体型))。結果として、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の発症率が高くなります。

図2:内臓脂肪の働きの違い(正常体型・内臓肥満体型)

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正常体型の方の内臓脂肪

正常体型の方の内臓脂肪は小さくて、善玉因子であるアディポネクチンなどを多く出します。これらの善玉因子はインスリンを働きやすくし、糖尿病や動脈硬化をおこしにくくします。

最近では、成人ばかりではなく子どももメタボリックシンドロームに注意が必要といわれています。子どものころからの体重管理がとても重要です。

メタボリックシンドロームはどんな病気につながるの?

メタボリックシンドロームの方は、そうでない方と比べて、2型糖尿病になるリスクは約3倍、心血管疾患をおこしたりそれにより死亡するリスクは約3倍になるといわれています1)
また、非アルコール性脂肪肝、高尿酸血症、腎臓病、睡眠時無呼吸症候群といった病気にもつながります。
自覚症状がないことが多いですが、放置してよい状態ではなく、適切な運動や食事療法による体重、血圧、血中脂質、血糖値の管理を行うことが必要です。

5~10%の体重減少でも、メタボリックシンドロームに伴う状態(高血圧・脂質異常・高血糖)が改善されたり、糖尿病の発症が予防できたりしますので、ダイエットは有効です。また、タバコは動脈硬化を進行させ、心臓・血管の病気をおこしやすくしますので、禁煙もとても重要です。
生活習慣改善のヒントとして、「2型糖尿病にならないためにはどうしたらいいの?」も参考にしてください。

一方で、必要な場合は、薬による治療を適切な時期に開始し、危険因子を管理することも大切です。

メタボリックシンドロームについての参考リンク

厚生労働省が作成しているウェブサイトでは、メタボに関連する健康情報を提供しています。
厚生労働省:生活習慣病予防のための健康情報サイト「メタボリックシンドローム」
(外部リンク) 

メタボ健診(特定健康診査)・特定保健指導を受けましょう

0歳以上74歳以下の方を対象に、特定健康診査(特定健診、メタボ健診とも呼ばれます)・特定保健指導が行われています。
これは、メタボリックシンドロームの視点から健康診断を行い、メタボリックシンドロームにあてはまる方やそれに近い状態の方に対して適切な情報提供、栄養や運動などについての保健指導を行うことで、糖尿病や心臓・血管の病気の発症を減らすことを目指す取組みです。
早めにリスクを見つけて、生活習慣病や心血管疾患を予防しましょう。

特定健診・特定保健指導についての詳細については、加入されている医療保険者(自営業の方は市区町村、会社などへお勤めの方とその被扶養者の方はお勤め先)までお問い合わせください。

参考:特定保健指導の基準
特定保健指導は、次の基準をみたす方に行われます。

ステップ 1 (内臓脂肪蓄積のリスク判定)
・腹囲 男性 85cm以上、女性 90cm以上の方・・・・・・・・・・(1)
・腹囲 男性 85cm未満、女性 90cm未満で、BMI 25以上の方・・(2)
ステップ 2 (追加リスクの数の判定と特定保健指導の対象者の選定)
検査結果及び質問票より追加リスクをカウントする。
①~③はメタボリックシンドロームの判定項目、④はそのほかの関連リスクとし、④喫煙歴については①から③までのリスクが1つ以上の場合にのみカウントする。
⑤に該当する者は特定保健指導の対象にならない。

  ① 血圧高値
      収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上
  ② 脂質異常
     中性脂肪150mg/dL以上またはHDLコレステロール40mg/dL未満
  ③ 血糖高値
     空腹時血糖(やむを得ない場合は随時血糖)100mg/dL以上、またはHbA1c(NGSP) 5.6%以上
  ④ 喫煙歴あり
  ⑤ ①、②、または③の治療に係る薬剤を服用している
ステップ 3 (保健指導レベルの分類)
ステップ1、2から保健指導対象者をグループ分け
ステップ1で(1)に該当する方の場合 
     ステップ2の①~④のリスクのうち追加リスクが       
2個以上の方は         積極的支援レベル
1個の方は 動機付け支援レベル
0個の方は 情報提供レベル      とする。
ステップ1で(2)に該当する方の場合 
     ステップ2の①~④のリスクのうち追加リスクが
3個以上の方は 積極的支援レベル
1または2個の方は   動機付け支援レベル
0個の方は 情報提供レベル      とする。
ステップ 4(特定保健指導における例外的対応など)
・前期高齢者(65歳以上75歳未満)の方は、日常生活動作能力、運動機能などを踏まえQOL(Quality of Life)の低下予防に配慮した生活習慣の改善が重要であることなどから「積極的支援」の対象となった場合でも「動機付け支援」とする。
・降圧薬等を服薬中の者については、継続的に医療機関を受診しているはずなので、生活習慣の改善支援については、医療機関において継続的な医学的管理の一環として行われることが適当である。そのため、保険者による特定保健指導を義務とはしない。しかしながら、きめ細かな生活習慣改善支援や治療中断防止の観点から、かかりつけ医と連携した上で保健指導を行うことも可能である。また、健診結果において、医療管理されている疾病以外の項目が保健指導判定値を超えている場合は、本人を通じてかかりつけ医に情報提供することが望ましい。

*特定健診の空腹時血糖値の基準は100mg/dLになっており、この値はメタボリックシンドロームの診断基準の110mg/dLとは異なります。

上の表で特定保健指導の対象となった方は、ステップ3で分類されるレベルにより、下の3つのタイプの支援を受けることができます。

情報提供 特定健診を受診した方全員が対象となります。
健診結果をふまえて、今後、メタボにならないための知識を深めます。すでにお薬を服用している場合は、病気や治療への理解を深めます。
生活習慣を見直すきっかけとなるような情報提供があります。
動機付け支援 メタボのリスクがではじめた方への支援です。
ご自分の健康状態を理解し、生活習慣を振り返ります。生活習慣改善のために無理のない行動目標を立て、実践をするための支援が受けられます。
積極的支援 メタボのリスクの高い方への支援です。
医師、保健師、または管理栄養士と一緒にこれまでの生活習慣を振り返り、改善するために継続した保健指導の支援があります。

引用文献

1)Ford ES, Diabetes Care. 2005, 28, 1769-1778

参考文献

日本糖尿病学会 編著:糖尿病診療ガイドライン2019. 南江堂, 2019
厚生労働省保険局医療介護連携政策課 データヘルス・医療費適正化対策推進室:特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第3. 2版), 2021
標準的な健診・保健指導プログラム【改訂版】 平成30年4月 厚生労働省健康局

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