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糖尿病とは ―糖尿病専門医以外の医療従事者の方へ―

このページは糖尿病専門医以外の医療従事者の方が糖尿病の方の療養指導をする際の参考資料として作られたものです。

このページは、日本糖尿病学会等関連学会によるガイドラインに準拠して順次作成していきますが、内容の一部に、関連学会等において、まだ十分なコンセンサスが得られていないもの等が含まれている可能性があることをご了承ください。

糖尿病の療養指導や治療について詳しく知るために、以下のホームページあるいは書籍をご参考になさることをおすすめします。

注:日本糖尿病対策推進会議編 『糖尿病治療のエッセンス』は 関連リンク集 日本医師会のホームページ 糖尿病対策 からダウンロードすることができます。

日本糖尿病学会編 『糖尿病治療ガイド』文光堂

日本糖尿病学会編 『糖尿病療養指導のてびき』南江堂

また関連リンク集の*印をつけたものには、糖尿病についての説明や生活習慣の改善指導ツールなどが含まれていますのでご活用ください。

はじめに 糖尿病の療養指導とは

糖尿病の患者さんに糖尿病についての正しい知識を伝え、生活習慣の改善を支援・指導することを糖尿病の療養指導と呼んでいます。一人でも多くの方に地域における糖尿病の療養指導の担い手になっていただくために、全国各地で活動が展開されています。ご理解とご参加をお願いいたします。詳細は各団体のホームページ(関連リンク集にあります)をご参照ください。

当糖尿病情報センターは、糖尿病に関する研修講座を行っております。詳細はこちらをごらんください。

  • 糖尿病対策推進会議(全国組織である日本糖尿病対策推進会議と各都道府県の糖尿病対策推進会議)が、活動を展開しています。
  • 日本医師会は、糖尿病対策のホームページから糖尿病に関するパンフレットや糖尿病診療に役立つ情報を発信しています。
  • 日本糖尿病学会では、糖尿病の療養指導の普及に携わる「糖尿病専門医」の制度を設けています。
  • 日本糖尿病協会では、日常の糖尿病診療に携わる医師が、糖尿病の方の療養継続や指導の輪に参加していただくよう、「日本糖尿病協会登録医、歯科医師登録医」の制度を設けています。
  • 日本看護協会では、看護現場における血糖コントロール、フットケア、ケアシステム立案などの実践・指導・相談の役割を担う認定看護士(糖尿病看護)の認定を行っています。
  • 日本糖尿病療養指導士認定機構では、糖尿病とその療養指導を行う熟練した医療従事者として「日本糖尿病療養指導士」の認定を行っています。
  • 地域糖尿病療養指導士関連団体では、地域の糖尿病の療養指導を担う「地域糖尿病療養指導士」の認定等を行っています。

糖尿病とは

糖尿病とは、血液の中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなったために、すぐにあるいは将来合併症をおこす病気です。血糖値を望ましい範囲に保つのに重要な働きをしているのが、インスリンというホルモンです。インスリンは膵臓のβ細胞で作られ、血糖値が高くなるとより多く血液に出て行き、筋肉、肝臓、脂肪などに働いて血糖を下げます。人間はインスリンなしに生存することは不可能です。糖尿病はこのインスリンが血糖を下げるシステムに問題が起きている病気です。

1型糖尿病と2型糖尿病、その他の糖尿病

糖尿病には、いくつかの病型があります。


1型糖尿病では、膵臓のβ細胞が、免疫学的機構等により破壊されておこります。β細胞からインスリンがほとんど出なくなることが多く、1型糖尿病と診断されたら、治療にインスリンを使います。1型糖尿病は、さらに急性発症典型1型糖尿病、劇症1型糖尿病、緩徐進行1型糖尿病に分類されます。ケトーシスあるいはケトアシドーシスをおこして医療機関を初診することがあり、この場合、糖尿病専門診療機関でのすみやかな治療が必要です。(原因不明の意識障害や、上気道炎症状や消化器症状が先行する口渇、多飲、多尿、脱水を認めたら、1型糖尿病かもしれないと考えて血糖、尿ケトン体の検査を進めてください。劇症1型糖尿病の場合、HbA1cは発症の直後は比較的低値を示しますので、注意してください。)


2型糖尿病は、膵臓のβ細胞からのインスリン分泌の低下に、しばしば肥満や身体活動の不足によりインスリンが十分に効かない病態(インスリン抵抗性)が加わり、血糖値が上昇して発症します。近年2型糖尿病の方が増えているのは、生活習慣の変化により、インスリン抵抗性が高まったためであろうといわれています。食事療法、運動療法などの糖尿病の療養指導は、インスリン抵抗性を改善することで、血糖値を改善します。
高血糖はβ細胞の機能を低下させます(糖毒性)。2型糖尿病の方のインスリン分泌は、治療による糖毒性の解除により一時的に回復することもありますが、長い目で見ると、徐々に低下していくと考えられています。ですからひとたび糖尿病と診断されたらたとえ現在は食事療法のみで血糖値が良好であるとしても、「診療終了、通院不要」となることは決してありません。医療者は、すべての糖尿病の方に「定期的な通院と検査を継続することが必要である」ことを確実に伝える必要があります。糖尿病が強く疑われる人の半数弱の方が、自分が糖尿病だと知らないか、いったんは医療機関にかかっても、そのあとは通院していないといわれています。
血糖値が正常と糖尿病の間である耐糖能異常(境界型)の方は、血糖値が正常な方に比べて糖尿病を発症するリスクが高いことが知られています。耐糖能異常(境界型)の方にはこのことを伝え、糖尿病の方に準じて食事療法や運動療法を指導し、定期的な検査を継続するよう勧めてください。
糖尿病にはその他に、慢性膵炎によるものや、肝臓や内分泌の病気でおこるもの、染色体やミトコンドリアの1遺伝子変異でおこる特殊なものなどもあります。特殊な糖尿病が疑われた場合は、一度は糖尿病を専門に扱う医療機関に紹介して精密検査をすることが望まれます。

糖尿病の症状

教科書に糖尿病の症状として記載されている、口渇、多飲、多尿、体重減少などの症状は、血糖値がかなり高くならないと出現しません。1型糖尿病の方は、発病してすぐに血糖が極めて高くなることがあり、最初の症状が上記の症状や意識障害ということがあります。

これに対して2型糖尿病の方は、多くの場合糖尿病を発症してしばらくのあいだは「何の症状もありません」。これがこの病気の怖いところです。自覚症状がないため患者さんは、しばしば、生活習慣を変えようという動機をもてず、通院を中断することすらあります。医療者は、すべての糖尿病の方に「自覚症状がなくても生活習慣の改善にとりくみ、定期的な通院と検査を継続することが重要である」ことを確実に伝える必要があります。また自覚症状がないため、ふだん検診をうけていない方の糖尿病は見逃されます。

定期検診を呼びかけること、糖尿病予備軍とか、糖尿病の気があるなどと言われたことがないかどうかを尋ねること、検診をうけていない方で糖尿病を疑ったら血糖値やHbA1cの検査を行うことが、糖尿病の早期発見のために重要です。

糖尿病の合併症が進行すると、それと関連した症状がでてくることがあります。足がしびれる・つる、傷の治りが悪い、目が見えにくい、足のむくみなどの症状があったときには、糖尿病の可能性もあると考えて検査をしてください。

糖尿病はコントロールする病気です

糖尿病は治す病気ではなく、コントロールする(病気を制圧する/おさえこむ)病気であるといわれます。「糖尿病をコントロールする」ことは、糖尿病の方が、糖尿病のない方と同じように元気で長生きするために大切なことです。

糖尿病をコントロールするとは、どのようなことかと言いますと、

  1. 医師は定期的に診察、検査(体重、血圧、血液、尿)をし、医療スタッフは生活習慣改善(禁煙と節酒を含む)についての状況を聞き、ともに考え、アドバイスをする。
  2. 必要であれば薬やインスリンによる治療をし、血糖値、体重、血圧、脂質(コレステロールや中性脂肪)、を適正な値にコントロールする。
  3. 合併症が出ていないか、悪化していないかについて、病状に応じた適切な検査を定期的に行ない、その結果に基づいて必要な治療や検査を追加する。

ということです。「糖尿病をコントロールする」ということが、単に「血糖値だけをコントロールする」というものではないこと、薬やインスリンで治療し、検査値が改善しても、生活習慣改善へのとりくみは継続すべきものであることを知っていただきたいと思います。

生活習慣改善の指導

ここにで紹介する生活習慣改善指導参考資料の出典は以下のとおりです。

食生活の改善を奨励してください

糖尿病の方を診察するときには毎回必ず体重をはかりましょう。

体重が標準体重より多いかたには、減量をすすめてください。

標準体重(キログラム)=身長(メートル)×身長(メートル)× 22

肥満(BMI25以上)はもとより、そこまでいかなくても標準体重以上の体重がインスリンの効果を弱め血糖値を上昇させるだけでなく、血圧や脂質の値も上昇させ、血管合併症のリスクを高めることを伝えて、体重を減らすべきであることへの理解を助けてください。標準体重と現在の体重に大きな開きがある場合には、まず2から3ヵ月かけて体重の5%程度を減量することを当面の目標にします。

減量するには、食事等からの摂取エネルギーを減らすことが必要です。まず間食やアルコールを止める(極力へらす)ことが必要です。

糖質の多い飲料(ジュース、野菜ジュース、スポーツドリンク、0カロリーでないコーヒーや紅茶等)にかなりのエネルギーがあることを知らない方が多いので、説明してください。かわりに水や0カロリーのお茶、コーヒー、紅茶等をのむことを勧めます。アルコールはインスリンを分泌する臓器である膵臓や末梢神経・脳、肝臓にも害を及ぼすことを伝えてください。

食事については、主食、主菜の量の適正なイメージをもつこと、油脂類(フライや天ぷら、ナッツ類やごま、マヨネーズやドレッシング類)が少量で高エネルギーであることについて知らせ、これらを控えることから始めるのがよろしいかと思います。

詳しくは日本糖尿病学会が編集している「糖尿病食事療法のための食品交換表第6版」(腎機能が悪い方には「糖尿病性腎症の食品交換表 第2版」)をご参照ください。また栄養士による個別の指導/相談が望まれますので近くの専門機能を担う病院や保健所との連携も考慮してください。


糖尿病と高LDLコレステロール血症を合併している方には、飽和脂肪酸を多く含む脂の多い肉、バターや生クリーム等の食品(これらの食品は体内でのコレスレロール生合成を活発にします)およびコレステロールを多く含む食品を控えることを伝えます。

中性脂肪が高い糖尿病の方には、肥満を解消する、アルコールを控える/やめる、糖質の摂取を制限するなどをすすめてください。

糖尿病の方に食事面でもう一つ気をつけていただきたいのが塩分です。

高血圧が糖尿病の各種合併症を悪化させる因子であること、塩分を控えることや肥満の方は減量することが血圧を下げるために大切であることを伝えましょう。血圧を上げないようにするため、糖尿病の方の塩分は1日10グラムまで、高血圧の方の塩分は1日6グラムまでがよいとされています。塩分を減らす工夫を提案してください。

減量には、認知療法の視点も重要です。食事療法をむずかしいと感じてしまうと、できそうにないという思いに至り生活習慣改善へのやる気が損ねられがちです。逆に、食事療法を良く理解はしているのに痩せない方もあります。

そこで、食事療法については、その概要だけを説明し、あとは毎日体重を測ってこれを記録し、自分で体重が減るように促すという方法もよく用いられます。この原法は大分大学教授の吉松博信先生らのグループが考案された1日4回体重を量ってグラフにするという「グラフ化体重日記」です。グラフをつくるのが苦手な方は表に数字を書き込むことでも一定の効果をあげることができます。

摂取エネルギーを極端に(例えば1日800キロカロリー)減らす食事療法は安全に行なうために、専門医の管理下でおこなうのが望ましいです。

運動を奨励してください

程度な身体活動は、糖尿病の有無にかかわらず、健康のために必要なものです。糖尿病の方は運動をすると、インスリンの効きがよくなり、糖尿病のコントロールに良い影響がでます。

運動にはいろいろな種類がありますが、多くの方がとりくみやすいのがウォーキングです。身体活動量にはかなりの個人差があります。まずマイペースで少しずつ日々の歩数/歩く時間をふやすことを勧めてください。事情が許せば歩数計をつけて1日の歩数を記録するのがよいと思います。

運動をするのが適切ではないあるいは注意が必要な病状の方もあります。血糖や血圧のコントロールが著しく不良の時、熱の有る時、足に傷のあるとき、中等度に進行した糖尿病腎症や糖尿病網膜症の方、糖尿病神経症で足底の知覚の無い方、膝、足、股関節に病変の有る方や高度肥満(BMI30以上)の方、狭心症や陳旧性心筋梗塞、末梢動脈閉塞の方あるいはそれらが疑われる方などがこれに該当します。これらに該当する方の運動処方については、専門家に一度は相談される事をお勧めします。

運動中および運動後は血糖が低下しますので、経口血糖降下薬やインスリンを使っている方の場合は低血糖への注意が必要です。

禁煙を奨励してください

タバコは動脈硬化を促進し、糖尿病の合併症にも悪い影響をおよぼすことが知られています。

糖尿病の病状はひとりひとり違います。もし、ある患者さんの療養指導が難しいと感じられたら、糖尿病専門診療機関に紹介されることをお勧めします(その際、逆紹介を希望する旨をお書きになるとよろしいかと存じます。)

糖尿病患者さんの紹介用診療情報提供書のフォームは関連リンク集 日本医師会のホームページ 糖尿病対策 のページからからダウンロードすることができます。

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