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日本人を対象としたデータ解析の結果、糖尿病では癌が増加することが判明

糖尿病の方は糖尿病でない方と比べて癌になったり癌で死亡したりする可能性が高いことが以前から報告されてきています.しかし研究法法の違いや分析対象者のかたよりのために確実な研究はありませんでした.私達は論文として発表された研究結果を再分析することで精度の高い統合結果を出す研究をしています.
まずは,日本人を対象としたデータ解析結果(英文医学誌に論文発表)を紹介します.

研究方法

2010年6月10日時点で英文誌に発表されていた糖尿病と癌の関連性に関する論文をデータベースから検索しました.その中から日本で行われた妥当性の高い研究5件を精選しメタアナリシスという統計手法で統合解析しました.メタアナリシスとは複数の研究結果をコンピュータを使用して一つの研究としてまとめ上げる分析手段です.

日本人での糖尿病と癌の関連性

5件の論文の対象者は総計250,479人で癌を発症したり癌で死亡したりした人が22,485人でした.男女あわせて解析したところ糖尿病では癌が著明に増加することが判明しました(増加倍率約1.7倍).男女別の分析では,男性で確実な増加(増加率1.25倍)を,女性では増加の傾向を認めました.臓器別癌の分析では、肝臓癌(倍率3.64)と子宮癌(倍率 3.43倍)の発症率が確実に増加していました.

結果

5年間の追跡期間中125名が糖尿病を発症した。空腹時血糖値が高いほど糖尿病発症率は高くなり、糖尿病発症のリスクは空腹時血糖値が110ミリグラム/デシリットルに達する前から上昇していることがわかった。ROC解析では最適なカットオフは102ミリグラム/デシリットルとなり、この値は性別、年齢層によらずほぼ同一であった。また糖尿病をHbA1c6.1%以上で定義した場合でもカットオフは101ミリグラム/デシリットルとほぼ同一の値となった。

解釈

今までの報告の多くは西洋諸国からでしたが,今回の私達の分析で日本人でも糖尿病では癌が増加することが判明しました.爆発的に増加している糖尿病患者数を鑑みると,医療界だけでなく社会においても癌予防・早期発見は糖尿病診療の重要な課題とすべきだと思われます.

論文名

Noto H, Osame K, Sasazuki T, Noda M: Substantially increased risk of cancer in patients with diabetes mellitus: a systematic review and meta-analysis of epidemiologic evidence in Japan.
J Diabetes Complications 24:345-353, 2010

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