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Association Between a Virtual Glucose Management Service and Glycemic Control in Hospitalized Adult Patients An Observational Study

最終更新日:2017年5月2日

タイトル

電子カルテ使用での血糖コントール介入と、入院患者の血糖コントロール

著者

Rushakoff RJ et al.

掲載誌

Ann Intern Med. 2017 Mar 28.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P (患者): カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)関連の3病院に入院し、血糖測定が行われている成人患者(産科患者はのぞく)。

I (介入): 24時間以内に高血糖(225mg/dL)が2回以上、もしくは低血糖(70mg/dL以下)を記録した患者が同定され、専門のチーム(Virtual Glucose Management Service; vGMS)が患者基礎情報などを考慮してインスリン量の調節などをカルテ記載してゆく。

C (比較対照):vGMS開始前の一年間、開始直後の一年間と、一年経過してその後の一年間

O (アウトカム):入院患者100人あたりの、高血糖患者(225mg/dL以上を一日に二回以上記録)、至適血糖(70mg/dl以上180mg/dl以下)、低血糖(70mg/dL未満。40mg/dl未満を重症とする)、それぞれの発生割合

研究方法

デザイン: 観察研究
盲検化:観察研究につき、なし
試験期間:2012年6月1日から2015年5月31日まで。

結果

  • 36ヶ月間で3病院にのべ68,505人の入院があり、うち19,294人(28%)はPOCT機器での血糖測定があった。
  • vGMSノートは、施行から1年の間は、3.8%の患者に対し、次の1年では4.7%の患者に対して記入された。
  • vGMSチーム開始前の1年間の平均血糖値は170.7mg/dl、試行後1年間は163.4mg/dl、次の1年間は166.4mg/dlと開始前に比較して有意な低下が見られた。
  • 高血糖(225mg/dl以上を1日に2回以上)を呈する患者も、開始前1年間で100人あたり6.6人が、試行後100人あたり5.4人、4.0人と経時的に低下した。
  • 至適血糖値(血糖測定値が70mg/dl~180mg/dlの範囲)に納まっている患者も、開始前の100人あたり10.8人から、施行1年間で11.6人に上昇し、つぎの1年でも11.4人で維持されていた。
  • 低血糖(70mg/dl以下)は100人あたり0.78人と、もともと少なかったが、施行1年経過してからの1年では100人あたり0.49人と有意な減少が見られた。40mg/dl以下の重症低血糖も施行前の100人あたり0.032人から0.010人に減少した。
  • vGMS施行前からも、100患者・日あたりの高血糖患者は、0.106人ずつ低下していたが、vGMS試行後からは、その減少が加速し、100患者・日あたり0.278人ずつ減少するようになった。
表. vGMS施行前、施行直後1年、その後の1年の血糖推移
  vGMS施行前(期間1) vGMS施行直後1年 その後の1年(期間2) 期間1と2の差
血糖測定実施の患者率(%) 31.7% 31.3% 27.9% -3.9%(-4.3~0.34) p<0.001
平均血糖値 170.7mg/dl 163.4mg/dl 166.4mg/dl -4.3mg/dl(-5.1~-3.5)p<0.001
高血糖(100人あたり) 6.6 5.4 4.0 -2.5(-2.7~-2.4)P<0.001
至適血糖値(100人あたり) 10.8 11.6 11.4 0.6(0.3~0.8)P<0.001
低血糖(100人あたり) 0.78 0.89 0.49 -0.28(-0.35~-0.22)p<0.001
重症低血糖(100人あたり) 0.032 0.028 0.010 -0.022(-0.03~-0.01)p<0.001

コメント

  • 電子カルテ直結で、介入の必要な患者が同定され、インスリン指示なども電子カルテを経由で行われる、遠隔医療の実証実験とも言える。
  • いわゆる電子カルテの「メモ」「付箋」「メール」の形でインスリン指示などが送られる。電話指示などと違い、メッセージを伝達するのに時間差が生じてもかまわないことが強みである。また、このvGMSを受け取ることは血糖管理がうまく行っていないことを意味することから、主治医があらかじめインスリン処方量に配慮するなど、教育ないし警告の意味があると考察される。
  • 血糖測定回数をおこなっている患者率は減少し、内分泌科へのコンサルト率は殆んど変化が見られなかった。
  • UCSFの教育病院であるので、典型的にはレジデントや教育担当の責任医師が毎月交代する。スタッフの入れ替わりがこれほど激しくない病院であるならば、教育法の工夫などで同様の効果が見られるかもしれない。
  • この研究では、患者背景情報を収集していない。また、vGMSノートが実際にインスリンの処方などに反映されているかの確認も取っていない。

備考

  • この研究での血糖値測定は、Point of Care Testing(POCT)機器で測定されている。

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