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3 years of liraglutide versus placebo for type 2 diabetes risk reduction and weight management in individuals with prediabetes: a randomised, double-blind trial

最終更新日:2017年3月7日

タイトル

2型糖尿病発症予防にリラグルチドは効果があるか。

著者

le Roux CW et al.

掲載誌

Lancet. 2017 Feb 22(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P (患者): 境界型耐糖能障害のある患者(全2254人・男性24%・平均年齢47.4歳・平均BMI 38.9kg/m2・平均HbA1c5.8%)。BMIが30kg/m2以上か、27kg/m2かつ高血圧か脂質異常の少なくとも一方を有するもの。

I (介入): リラグルチド1日1回、3.0mg皮下注射。それに加えて、食事や運動の指導。1505人。

C (比較対照):プラセボ1日1回、皮下注射。それに加えて食事や運動の指導。749人。

O (アウトカム):一次エンドポイントは、160週時点での糖尿病患者の割合と、糖尿病発症までの時間

研究方法

デザイン: 27ヶ国・191施設、ランダム化割付、コントロールあり。
盲検化:あり
試験期間:2011年6月1日から2015年3月2日まで。

結果

  • リラグルチド群で714人(47%)、プラセボ群で412人(55%)脱落し、160週まで完遂したのは、それぞれ791人(53%)、337人(45%)だった。
  • リラグルチド群での脱落理由は、副作用199人(13%)、効果不十分29人(2%)、同意の撤回324(22%)。プラセボ群では副作用46人(13%)、効果不十分36人(5%)、同意の撤回233人(31%)と群間で差が見られるものがある。
  • 160週時点で、リラグルチド群で1472人中26人(2%)、プラセボ群で738人中46人(6%)が糖尿病を発症したと診断された。中途打ち切り(Censoring)を考慮すると、リラグルチド群で3%、プラセボ群で11%が糖尿病と診断されたことになる。さらに性別、BMI、ベースラインの空腹時血糖などを調整すると、160週時点で糖尿病発症がない割合はリラグルチド群98%、プラセボ群91%となり、リラグルチド群の糖尿病発症までの時間はプラセボ群とくらべて2.7倍に延長していたことが判明した。
  • リラグルチド群の糖尿病発症ハザード比は、プラセボ群と比して0.21(95%CI 0.13-0.34)であった。160週経過後に12週の休薬期間の間でリラグルチド群5名、プラセボ群で1名の糖尿病発症があったが、その時点でもリラグルチド群の糖尿病発症はプラセボ群とくらべて低率であった(表)。リラグルチド群で脱落時点で1%に糖尿病発症していたと仮定し、プラセボ群では同意撤回時点で発症はないと仮定しても、ハザード比は0.34(95%CI 0.22-0.53)と優位な差を保っていた。
  • 消化器症状はリラグルチド群により多く見られ、特に嘔気、下痢、便秘、嘔吐の発症が多い(参加者の20%以上)。胆石・胆のう炎といった胆嚢胆道疾患もリラグルチド群1501人中 74 人(5%)、プラセボ群747人中13人(2%)と差が見られた。膵炎もリラグルチド群で1501人中10人(0.7%)、プラセボ群で747人中2人(0.3%)と発生は数字上多い。
  • プラセボ群では乳腺の前癌・癌病変は見られなかったが、リラグルチド群では9人に10病変が見つかっている。
  • 低血糖はリラグルチド群で293人(19.9%)から報告、プラセボ群では33人(4.7%)であった。大部分が空腹時採血時(発生全体の12.5%)、糖負荷後の90分時や120分時(発生全体の78.1%)に認められた。

表. 糖尿病発症の群間比較・ 感度分析
  プラセボ リラグルチド 発症までの時間のハザード比* (95%信頼区間)
  発症数 母数 発症数 母数
一次解析 46 738 26 1472 2.68 (1.86-3.87)
完遂者のみで解析 40 337 19 791 3.29 (2.05-5.28)
検査・投薬などで糖尿病発症が推測される者含む 67 738 40 1472 3.06 (2.15-4.35)
172週時点 47 738 31 1472 2.44 (1.74-3.43)
糖尿病発症が推測されたもの含み、172週時点 73 738 60 1472 2.16 (1.68-2.79)
*:数字が大きければ糖尿病発症までの時間が延長されることを意味する

コメント

  • リラグルチド3.0mg1日1回皮下注射は、日本では承認されておらず、海外で肥満患者の減量目的で承認されている。
  • 副作用や効果不十分以外の、同意撤回理由が明らかではない。最終的な解析には98%の患者が追跡されてはいるものの、半数ほどの症例が治療継続できない介入が現実的かどうかは、この試験結果を実臨床に当てはめるときの議論点となるだろう。
  • The Diabetes Prevention Program (DPP)では、通常の生活介入では3年で28.9%に糖尿病発症が認められた。この試験では11%であるので、試験対象者に違いがある。
  • 胆嚢胆道疾患が、リラグルチド使用によって頻度が上昇するのはLEADER試験(N Engl J Med. 2016;375:311-22.)でも同様の現象が見られた。体重減少が大きい患者により胆嚢胆道疾患が多いが、試験期間を通じて発生が見られる、すなわち体重減少効果の大きい試験開始初期に発生が多いわけではないのは、今後の検討を要する。
  • 乳腺の前癌・癌病変が、プラセボ群と比較してリラグルチド群で多く見られたのは、GLP-1受容体作動薬の臨床試験では初めてであると思われる。女性が多く試験に参加していることも理由の一つであろう。さらに試験開始一年以内に、前癌・癌病変が見られることから、体重減少で病変が見つかりやすくなる可能性は考えられる。

備考

  • 食事や運動の指導は、試験期間全般にわたるカウンセリング、1週150分を目標とした身体活動の増加、推定消費熱量から500kcal減じた量を食事量の目標とする、というものである。
  • 薬剤を用いて糖尿病発症を予防する試みは、メトホルミン(N Engl J Med 2002; 346:393-403.)、orlistat(日本未承認、Diabetes Care 2004;27:155?61.)、phentermine/topiramate(phentermineは日本未承、Diabetes Care 2014;37: 912?21.)、ピオグリタゾン(N Engl J Med 2011; 364: 1104?15.)、ボグリボース(Lancet 2009;373:1607-14.)などで報告されている。

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