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Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes

最終更新日:2016年9月26日

タイトル

GLP-1受容体作動薬セマグルチドは心血管イベントを抑制する

著者

Marso SP et al.

掲載誌

N Engl J Med on line Sep 16, 2016(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):大血管症発症のリスクが高い2型糖尿病患者(全3297人・男性60.7%・平均年齢64.6歳・平均HbA1c 8.7%・平均BMI32.8kg/m2・83.0%が動脈硬化性疾患の既往ないし3期以上の慢性腎臓病を有す・平均糖尿病罹患歴13.9年)

I(治療):セマグルチド(日本未承認)1週1回(0.5mg か 1.0mg)追加投与(計1648人)

C(比較対照):プラセボ追加投与(1649人)

O(アウトカム):心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中(複合エンドポイント)の発症リスクに相違があるか?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験
盲検化:あり
追跡期間:2.1年(中央値)・追跡率98.5%・投薬中断率20%

結果

セマグルチド追加群では開始早期からリスク低下を認め、試験終了時には有意な低下となった。
心血管死に有意差は見られず、非致死性心筋梗塞は数字上低下、非致死性脳卒中は有意に低下していた。
さらに全死亡リスクに有意差は見られなかった。有害事象としてはセマグルチド群に下痢・嘔気・嘔吐など消化管症状がより頻回に見られた。
低血糖に群間差は見られなかった(血糖値56mg/dl未満でかつ症状を伴う、もしくは重症低血糖:セマグルチド0.5mg 37.5回/100人・年、同1.0mg 36.2回/100人・年、プラセボ 0.5mg 35.3回/100人・年、同1.0mg 39.7回/100人・年)。
細小血管症では、網膜症が有意に悪化した(うち83.5%が網膜症の既往があるものだった)。腎症(新規の顕性タンパク尿、血中クレアチニン値の倍加、eGFR 45ml/min/1.73m2未満、腎代替療法導入のいずれか)はセマグルチド群で有意に低下していた。

アウトカム セマグルチド追加群 プラセボ追加群 相対リスク/絶対差 信頼区間、p値
複合エンドポイント 6.6% 8.9% 0.74/ -2.3% 0.58~0.95, p=0.02
心血管死 2.7% 2.8% 0.98/ -0.1% 0.65~1.48, p=0.92
非致死性心筋梗塞 2.9% 3.9% 0.74/ -1.0% 0.51~1.08, p=0.12
非致死性脳卒中 1.6% 2.7% 0.61/ -1.1% 0.38~0.99, p=0.04
網膜症悪化
(レーザー治療 or 硝子体出血)
3.0% 1.8% 1.76/ +1.2% 1.11 ~ 2.78, p=0.02
腎症発生・悪化 3.8% 6.1% 0.64/ -2.3% 0.46 ~ 0.88, p=0.005

コメント

  • 2型糖尿病患者でメトホルミン、エンパグリフロジン、リラグルチドに続いて大血管症のリスクを有意に低下させることが実証された薬物になる。
  • 複合エンドポイントで、非致死性脳梗塞の抑制(有意差あり)に加えて、非致死性心筋梗塞の抑制(有意差なし)で差がついている。心血管死亡、全死亡に差はない。
  • EMPA-REG OUTCOME試験とは異なり、心血管死亡や全死亡の抑制ではなく、脳梗塞や心筋梗塞の抑制で一次エンドポイントに差がついている。HbA1c低下(0.5mg 0.7%、1.0mg 1.0%低下)、体重減少(0.5mg 2.9kg、1.0mg 4.3kg 低下)、収縮期血圧低下(0.5mg 3.4mmHg、1.0mg 5.4mg 低下)はそれぞれ無視できない差がついており、複合して心血管イベントリスク低下には貢献している可能性があるが、セマグルチドがどのように心血管イベントを抑制したのかは不明である。
  • 発表日現在で(2016年9月16日)、日本ではセマグルチドは未承認薬である。
  • 本来、この試験は非劣性を証明するためにデザインされたが、予想よりイベント発生が見られたこと、群間差が大きく、有意差を検定するに至った。

備考

リキシセナチドを用いた大血管症2次予防の試験(ELIXA試験 N Engl J Med. 2015; 373: 2247-57)、リラグルチドを用いた大血管症2次予防の試験(LEADER試験 N Engl J Med. 2016; 375: 311-322)との比較を試みたくなるが、対象患者、観察期間、介入方法も異なり、単純な比較はできない。

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