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Impact of glucose tolerance status, sex, and body size on glucose absorption patterns during OGTTs.

最終更新日:2014年5月21日

タイトル

ブドウ糖吸収パターンは血糖値と体格の影響を受ける

著者

Farch K,, et al.

掲載誌

Diabetes Care. 2013 ;36:3691-7(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):デンマーク人(総66人・男性65%)
I(条件):空腹時血糖異常(IFG 18人)・耐糖能異常(IGT 28人)
C(比較対照):正常耐糖能(NGT 20人)
O(アウトカム):OGTTにおける糖吸収の特徴およびその要因は?

研究方法

75gOGTT,グルコースクランプ,経静脈ブドウ糖負荷試験

結果

糖の半分が吸収されるまでの時間(T1/2)はNGT群,IGT群と比較してIFG群では有意に短かった.さらにNGT群と比較してIFG群では糖の吸収のピークまでの時間が短く(P=0.013),60-120分の後期の糖の吸収量が少なかった(P=0.011).T1/2は空腹時血糖値と逆相関が示され,2時間血糖値と正の相関を示し,いずれも有意であった(P=0.001, <0.001).T1/2は身長と除脂肪量とはそれぞれ逆相関を示し,いずれも有意であった.性別による検討では,NGT群ではいずれの指標にも有意差はなかった.IGT群では早期の糖の吸収量は女性が僅かに少なく,ピークの糖の吸収量は女性で少なかった.さらにT1/2は女性で長い傾向がみられ,糖の吸収の速度が遅い可能性が示唆されたが,有意ではなかった.
年齢のほかに身長と除脂肪量で調整を行い解析したところ,後期の糖の吸収量がNGT群と比較してIFG群で少なく(P<0.01),T1/2と糖の吸収のピークまでの時間はIFG群ではそれぞれIGT群,NGT群と比較して有意に少なかった.IGT群においてみられた男性と女性の差については年齢と身長,除脂肪量で調整したところ有意差は認められなかった.
IGT群早期糖吸収量(中央値,g)ピーク糖吸収量(中央値,g)T1/2(中央値,分)
男性 34.6 [27.0から44.2] 0.80 [0.58から0.98] 65.0 [60.0から70.0]
女性 0.80 [0.58から0.98] 0.62 [0.36から0.79] 72.5 [65.0から77.5]
男女差p値 0.041 0.015 0.096

コメント

今回の結果からNGT群よりもIFG群においてOGTTでの糖の吸収のピークまでの時間やT1/2は短いことが示され,糖の吸収の速さが示唆された. NGT群と比較してIGT群では糖の吸収に明らかな差は示されなかった.IGT群において男性と比較して女性の糖の吸収が遅いことが示されたが,補正により体格の差によるものと説明された.糖の吸収の速さと2時間血糖値,体格はそれぞれ正の相関を示し,空腹時血糖値との逆相関が示された.これらの違いがOGTTでの耐糖能の評価や境界型,糖尿病の診断の違いをもたらしている可能性が示唆された.本研究ではインスリン抵抗性やβ細胞機能も評価されたが(略),血糖値や体格の影響も考慮すべきであることが示唆されている.小規模・横断的である今回の研究の限界を踏まえて,glycemic indexの異なる食事やαグルコシダーゼ阻害薬の影響を含めた更なる検討が望まれる.

備考

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