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Do physicians understand cancer screening statistics? A national survey of primary care physicians in the United States.

最終更新日:2012年8月20日

タイトル

多くの医師が検診に関するバイアスを理解していない

著者

Wegwarth O, et al.

掲載誌

Ann Intern Med. 2012;156:340-9.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(対象者):アメリカのプライマリケア医(総数412人年齢30歳以上・男性77%)
I(介入):癌検診成果に関する不適切なパラメーター
C(比較対照):適切なパラメーター
O(アウトカム): 正しい理解度に差はあるか?

研究方法

デザイン:インターネットによる無作為化比較試験
回答率:79%


問題 各文の正誤は?

  1. 検診の成果は5年生存率で表される.
  2. 検診の成果は癌発見率で表される.
  3. 検診の成果は無作為化比較試験の死亡率で表される.

結果

解答 1. X 2. X 3. ○
正答率は3.が最も高く1.が最も低かった.
パラメーター正解正答率
5年生存率 X 22%
癌発見率 X 49%
死亡率 81%

コメント

  1. 検診(および治療)を受けてもうけなくても死亡年齢に無関係な疾患の場合,検診で早期発見をすることで5年生存率が水増しされる.換言すれば,実際の予後は変わらないのに,早期発見によって診断後の生存率を見かけ上増やすことができる.これをlead-time biasという.
  2. 癌の早期発見は一見理にかなっているが,治療による予後改善に結びつくとは限らない(治療不要なこともある).早期発見で予後不変の人が増える結果,統計上は死亡率が低下することがある.これをdetection biasという.研究デザイン上,正答率の一般性は必ずしも高くないかもしれないが,統計学の教材として非常に有用な論文である.予後が変わらないのに不要な不安を与えたり過剰治療をしたりすることがないように留意すべきである.

備考

原文ではバイアスの図解が掲載されている.ぜひ一読を.

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