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Comparative determinants of 4-year cardiovascular event rates in stable outpatients at risk of or with atherothrombosis.

最終更新日:2011年2月8日

タイトル

病歴によって高リスク外来患者の心血管イベント発生率を予測できる(日本人を含む)

著者

Bhatt DL, et al.

掲載誌

JAMA. 2010;304:1350-7.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者): 心血管疾患既往または高リスク外来患者(29カ国45277人・日本人5073人・平均年齢68歳・男性65%・)
I(条件):心血管疾患既往またはリスクファクターあり
C(比較対照):なし
O(アウトカム):心血管疾患発症の相対リスクはどのくらいか?

研究方法

デザイン:コホート研究
追跡期間:最長4年間・追跡率69%

結果

5481人が心血管疾患(心血管死2315人・心筋梗塞1228人・脳卒中1898人・心筋梗塞と脳卒中同時40人)を発症した。発症率は、虚血性疾患の既往者(21890人)は18.3%(95%信頼区間17.4から19.1)、安定心血管疾患を有する患者(15264人)は12.2%(95%信頼区間11.44から12.9)、リスクファクターのみの場合(8073人)は9.1%(95%信頼区間8.3から9.9)であった。
寄与度の大きいリスクファクターは、糖尿病・1年以内の虚血性疾患の既往・多血管疾患(polyvascular disease)であった。日本人は他国よりリスクが有意に低かった。
寄与度糖尿病1年以内の虚血性疾患の既往多血管疾患(polyvascular disease)日本人
調整ハザード比 1.44 1.71 1.99 0.7
95%信頼区間 1.36から1.53 1.57から1.85 1.78から2.24 0.63から0.77

コメント

この観察研究は日本人を含む他国間での同時比較分析であり、動脈硬化性疾患の進行度に応じた解析がなされている点で斬新であり、臨床的有用性が高い。以前は間接的データに基づいて日本人の心血管発症リスクが他国と比較されていたが、この研究では同時分析である点で妥当性が高い。糖尿病による相対リスク増加は他研究よりも低値であるが、これは対象者の大多数が心血管疾患既往があるため糖尿病による寄与が希釈されたからと考えられる。
この研究を解釈する上での注意点は、追跡率が低いため信頼性も低いこと、比較的短期間の追跡であること、心血管疾患既往者や高リスク者に限定されることである。
それでも血液検査や画像検査に頼ることなく、基本となる病歴だけで発症リスクを予測できることの重要性をあらためて喚起する上で臨床的に重要な意義を持つであろう。

備考

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