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Does physical activity attenuate, or even eliminate, the detrimental association of sitting time with mortality? A harmonised meta-analysis of data from more than 1 million men and women.

最終更新日:2016年11月28日

タイトル

座っている時間が長いと死亡率が上昇するが、運動はこの悪影響を減弱するか。

著者

Ekelund U et al.

掲載誌

Lancet. 2016 Sep 24;388(10051):1302-10.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P (患者):観察研究に参加した18歳以上の男女(全1.005.791人)

I (介入):一週間の運動時間をMETs時で表し、4分位に区分した。最小分位は2.5METs時以下、第二分位2.5より多く16METs時以下、第三分位 16より多く30METs時以下、最大分位35.5METsより多い。

C (比較対照):一日の座っている時間(座位時間)が最小(4時間未満)かつ一週間の運動時間が最大分位の群。運動時間が同じ分位内での、座位時間の量依存性の検討には、一日の座位時間が最小(4時間未満)群を対象とした。

O (アウトカム): 全死亡率、心血管疾患による死亡率、乳癌・大腸癌による死亡率

研究方法

デザイン:文献の系統的検索とメタ解析
盲検化:なし
試験期間: 6つのデータベース(PubMed, PsycINFO, Embase, Web of Science, Sport Discus, Scopus)に収集されている論文で、2015年10月までのもの

結果

  • 8381報の論文から、最終的に98報の論文が本文の中身まで検討され、16報がメタ解析適応となった。それらの原著者に新たにメタ解析のために座位時間や運動量と死亡率の関係の再解析を依頼し、14報からのデータを収集。未発表のデータを2報合わせて最終的に16試験がメタ解析対象となった。
  • 対照(運動時間最大かつ一日座位時間4時間未満)と比べ、運動時間が第二分位群(2.5より多く16METs時以下)、最小分位群(2.5METs時以下)では死亡率が12~59%上昇した。運動時間が第二分位かつ座位時間1日4時間未満群で死亡のハザード比1.12(95%信頼区間 1.08-1.16)、運動時間が最小分位かつ一日座位時間8時間以上で、ハザード比1.59(95%信頼区間 1.52-1.66)。
  • 運動第三分位群(16より多く30未満METs時)では、1日4時間以上座っている群で対照(運動時間最大かつ一日座位時間4時間未満)と比べて死亡率の上昇が見られた。
  • 一日テレビ視聴時間で解析すると(解析対象465450人)、上記と同様の結果が得られたが、運動時間の最大分位群でも、一日5時間以上テレビ視聴群では死亡率が上昇していた(ハザード比1.16(95%信頼区間 1.05-1.28))
  • 心血管疾患による死亡で検討しても、運動時間の第二分位群(2.5以上16METs時)、最小分位群(2.5未満METs時)では死亡率が23~74%上昇した。
  • 乳癌・大腸癌による死亡で検討すると、運動時間最小分位群(2.5未満METs時)では死亡率が12~22%上昇した。
  • 同じ運動時間区分内で、一日座位時間最小を対照として死亡率と座位時間の関係を検討すると(表1)、最小から第三分位群までは座位時間が長くなると死亡率の上昇が見られたが、運動時間区分最大群では、その上昇が見られなかった。同じ解析を一日テレビ視聴時間で行うと(表2)、一日2時間までのテレビ視聴では死亡率の上昇はみられないが、3時間以上では運動時間区分最大群を除き、また5時間以上では全運動時間区分で死亡率の上昇が見られた。

表1:運動時間区分内の一日座位時間と死亡率の変化
運動時間区分 4時間未満 4以上6時間未満 6以上8時間未満 8時間以上
最小分位
(2.5METs時以下)
1 (基準) 1.08 (1.04 – 1.12) 1.09 (1.05 – 1.24) 1.27 (1.22 – 1.32)
第二分位
(2.5より上16METs時以下)
1 (基準) 1.04 (1.00 – 1.07) 1.06 (1.02 – 1.10) 1.12 (1.07 – 1.17)
第三分位
(16より上30METs時以下)
1 (基準) 1.05 (1.01 – 1.10) 1.03 (0.98 – 1.08) 1.10 (1.04 – 1.16)
最大分位
(35.5METs時より多い) 
1 (基準) 1.00 (0.96 – 1.04) 1.01 (0.97 – 1.06) 1.04 (0.98 – 1.10)

表2:運動時間区分内の一日テレビ視聴時間と死亡率の変化
運動時間区分 1時間未満 1~2時間 3~4時間 5時間以上
最小分位
(2.5METs時以下)
1 (基準) 1.00 (0.94 – 1.08) 1.10 (1.02 – 1.18) 1.44 (1.34 – 1.56)
第二分位
(2.5より上16METs時以下)
1 (基準) 1.00 (0.93 – 1.08) 1.08 (1.01 – 1.15) 1.29 (1.10 – 1.39)
第三分位
(16より上30METs時以下)
1 (基準) 1.08 (0.98 – 1.18) 1.17 (1.07 – 1.27) 1.41 (1.28 – 1.56)
最大分位
(35.5METs時より多い)
1 (基準) 0.96 (0.88 – 1.04) 1.01 (0.93 – 1.10) 1.15 (1.05 – 1.27)

コメント

  • 運動時間の四分位は、METs時で表記されているが、運動強度が中等度の運動(早歩き、楽な速度で自転車にのる、水中運動程度)で、それぞれの四分位が一日あたり、5分未満、25~35分、50~65分、60~75分となる。厚生労働省の定める「健康づくりのための身体活動基準2013」では18~64歳の身体活動(生活活動・運動)の基準を3メッツ以上の身体活動で、23METs時行う、とある。
  • 各観察研究の個別データを再解析しているわけではないが、16編の報告の研究者に同一基準で座位時間、運動時間と死亡率の再解析を依頼し、その結果をメタ解析しているので、均質な結果が得られている。
  • テレビ視聴時間が死亡率に与える影響は、座位時間よりも大きいように見える。解析対象数が、テレビ視聴時間を報告している研究が少ないため、ばらつきが大きく、偶然にこの結果が得られた小さな可能性はある。それよりも本質的にテレビを視聴する行為が、より動きが少ない、視聴時間が夜間であるなど、死亡率上昇に結びつきやすい行為である可能性がある。
  • 観察開始から一年以内の死亡は除外するなど、「潜在的・顕在的に疾病があるため、座位時間が長くなる」という逆因果関係を除く操作をしているが、観察研究である以上、この逆因果関係は完全には除外できない。
  • 運動時間が長くなれば、長い時間座っている悪影響をキャンセルできる、ということを強く示唆する結果だが、介入研究ではないし、もともとのデータも自己申告に基づき一回限りの調査をもとにしている。そのためたとえば「頑健で特別健康だから、運動をすることができ、死亡率が低い」という運動量と死亡率の相関や因果関係を歪める解釈も可能である。
  • テレビ視聴時間の四分位に隙間があるように見えるが、正確には、第二分位、第三分位は、それぞれ「1から3時間未満」「3から5時間未満」を聞いている。

備考

  • 米国糖尿病学会の身体活動に関する Position Statement(Diabetes Care 2016;39:2065-2079)でも、座位時間など不活動の時間を減らす・分断することが推奨されている。

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