メニューにジャンプ コンテンツにジャンプ

トップページ > 医師・医療スタッフの方へ > EBM論文情報

Cardiovascular Effects of Intensive Lifestyle Intervention in Type 2 Diabetes.

最終更新日:2013年7月11日

タイトル

糖尿病大血管症を抑制するための生活習慣改善強化は無効

著者

The Look AHEAD Research Group.

掲載誌

N Engl J Med. 2013 Jun 24. [Epub ahead of print](PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):肥満2型糖尿病患者(アメリカ人,総数5145人,男性40%,平均年齢59歳,平均HbA1c7.3%,心筋梗塞既往14%,平均BMI36)
I(治療):生活習慣改善強化(カロリー制限・運動量増加)
C(比較対照):従来療法
O(アウトカム):大血管症リスク(心血管疾患死含む)が低下するか?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験
盲検化:なし
追跡期間:9.6年間(中央値):早期終了,追跡率96%

結果

両群間に一次エンドポイントの有意差を認めなかったため,本研究は早期中止となった。改善強化群では従来療法群と比較して体重・HbA1c・血圧の有意な改善を認めたがLDL-Cに有意差はなかった。重症低血糖リスクに有意差はなかった。

アウトカム強化療法群従来療法群ハザード比
大血管症 1.83件/100人年 1.92件/100人年 0.95 (0.83~1.09),p=0.51 -0.09件/100人年(NS)
体重 -6.4キログラム -4.8キログラム - 平均 -4kg (-0.8~-0.3),p<0.001
HbA1c 0.07% 0.12% - 平均 -0.22% (-0.28~-0.16),p<0.001

コメント

本研究は生活習慣改善による減量の長期的臨床効果を検証した点で臨床的意義が大きい。理に反してエンドポイントに有意差を認めなかったが,その理由として,本研究ではSteno-2よりもベースラインの大血管症罹患率が低かったこと(スタチンや降圧薬などの投与が時勢とともに増加し,検出力が予測より小さくなった可能性)や,体重やリスクファクターの改善度が著明でなかったことなどが示唆されている。

一方,血糖コントロールはわずかながらも改善していることから細小血管症のリスク低下は期待されるため,生活習慣改善が無意味というわけではない。薬物を使用した糖尿病大血管症を抑制するための早期多面的介入は無効である報告(*)も鑑み,あらためて2型糖尿病の大血管症リスク管理が困難であることが示された。

備考

(*)Lancet. 2011;378:156-67. http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=505

このページに関するアンケート

Q1 あなたの年代を教えてください。
Q2 あなたの性別を教えてください。
Q3 あなたと「糖尿病」のかかわりを教えてください。
Q4 このページの情報は分かりやすかったですか?
Q5 このページに対するご意見をお聞かせください。

個人のご病気などについてのご質問やご連絡先などの個人情報に関するご記載はしないでください。こちらにご記載頂いた内容についてはご返答致しません。予めご了承ください。