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Low carbohydrate-high protein diet and incidence of cardiovascular diseases in Swedish women: prospective cohort study.

最終更新日:2012年8月20日

タイトル

低炭水化物摂取・高タンパク質摂取により心血管疾患リスクが増加する可能性がある

著者

Lagiou P, et al.

掲載誌

BMJ. 2012 Jun 26;344:e4026. doi: 10.1136/bmj.e4026.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):心血管疾患既往のないスウェーデン人女性(総数43396人・30から49歳)
I(条件):炭水化物摂取量減少・タンパク質摂取量増加
C(比較対照):炭水化物摂取量最多群・タンパク質摂取量最少群
O(アウトカム):心血管疾患発症率は増減するか?

研究方法

デザイン:コホート研究
盲検化:なし
追跡期間:1991年から平均15.7年間(680818人年)

結果

無作為に抽出された96000人のうち,49261人が参加依頼に返信し,条件に該当する43396人が対象となった.BMI 18.5から24.9の割合は71%,高血圧患者は9%であった(糖尿病患者は不明).平均食事データは,1560キロカロリー・炭水化物197グラム・タンパク質63グラム(動物性42グラム・植物性21グラム)であった.追跡期間中に1270人が心血管疾患を発症した(罹患率1.9イベント/1000人年).低炭水化物摂取・高タンパク質摂取により心血管疾患リスク(虚血性心疾患・脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血・末梢動脈疾患および全体)が増加した.
パラメータ調整罹患率比95%信頼区間
炭水化物摂取減少(10分の1) 1.04 1.00から1.08
タンパク質摂取量増加(10分の1) 1.04 1.02から1.06
低炭水化物-高タンパク質スコア増加(2単位) 1.05 1.02から1.08

コメント

低炭水化物-高タンパク質食の短期的な減量効果は実証されているものの心血管疾患のリスク増加が懸念されている.アメリカでの大規模コホート研究(*)では心血管疾患のリスク増加は認めなかったが,交絡因子としてタンパク質摂取源(動物性vs植物性)や肥満率の影響が示唆されていた.本研究は長期にわたる大規模コホート研究でこの仮説を検証した点で臨床的意義が大きい.絶対リスク増加は大きくはないが,国民全体レベルでは多大なイベント増加数につながる可能性がある.時間的整合性・量-反応関係・他のヨーロッパの研究報告との整合性等を考慮すると因果関係も強い印象であるが,生物学的機序は究明されていない.
ただし,参加依頼への回答率が低値であること,肥満者の割合が小さいこと,食事内容情報収集が1度であったこと,一国の女性が対象であることを鑑みると,バイアスや残存交絡因子が小さくないため,結果の妥当性・信頼性・一般性は高くない可能性に気をつけて慎重に解釈する必要がある.また,糖尿病患者への適用性・安全性(低血糖リスクなど)・減量効果も不明である.

備考

(*)N Engl J Med 2006;355:1991-2002.

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