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Intensive diabetes therapy and glomerular filtration rate in type 1 diabetes.

最終更新日:2012年5月30日

タイトル

血糖の厳格な管理により1型糖尿病のGFR低下を抑制できる可能性がある

著者

DCCT/EDIC Research Group

掲載誌

N Engl J Med. 2011;365:2366-76.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):1型糖尿病患(平均HbA1c 9.1%・平均年齢27歳・男性53%)
I(治療):血糖強化療法
C(比較対照):標準療法
O(アウトカム):GFR低下(<60)は抑制されるか?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験(DCCT)およびその後の観察研究(EDIC:DCCT終了時生存者の96%が参加)
盲検化:なし
追跡期間:総22年(中央値)・追跡率:85%

結果

強化療法群ではGFR<60への進行が著明に低下した.HbA1cやアルブミン尿で調整後は有意差が消失したが,血圧や降圧薬で調整後は有意差が保持された.End-stage renal diseaseへの進行には有意差がなかった.
エンドポイント強化療法群での進行率標準療法群での進行率リスク低下95%信頼区間/p値
GFR<60 24人(1.6/1000人年) 46人(3.0/1000人年) 50% 18から69%/p=0.006
End-stage renal disease 8人(0.5/1000人年) 16人(1.1/1000人年) 51% -14から79%/p=0.10

コメント

糖尿病腎症ではアルブミン尿の出現が特徴的だが,アルブミン尿とは独立したGFRの低下が着目されている.本研究では1型糖尿病のGFR低下は血糖管理・アルブミン尿により影響されることから,厳格な血糖管理によりアルブミン尿の出現だけでなく(*)GFR低下も予防可能であることが示唆された.長期にわたる強化療法の効果を示す研究として臨床的意義が大きい.
しかし解釈時には次の点に気をつける必要がある.

  1. 盲研化されていない
  2. 統計学的には有意なリスク低下率だが,絶対リスク差は僅かである
  3. 血圧や降圧薬の影響を認めなかった機序が不明
  4. 研究デザイン上,HbA1cやアルブミン尿はGFR低下の代理マーカーとして役立つことが示唆されるが,その妥当性は実証されない.

備考

(*)JAMA 2003;290:2159-67.

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