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Fish intake and type 2 diabetes in Japanese men and women: the Japan Public Health Center-based Prospective Study.

最終更新日:2012年5月30日

タイトル

魚摂取により糖尿病発症リスクが低下する可能性がある(日本人男性)

著者

Nanri A, et al.

掲載誌

Am J Clin Nutr. 2011;94:884-91(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):糖尿病の既往のない日本人(総数52680人・男性44%・年齢45から74歳)
I(条件):魚介類摂取第2・3・4四分位群
C(比較対照):魚介類摂取第1四分位群
O(アウトカム):2型糖尿病発症リスクは?

研究方法

デザイン:コホート研究
盲検化:なし
追跡期間:5年間・追跡率:97%

結果

971人が新規に2型糖尿病を発症した。男性では魚介類摂取量が最も少ない群に比べて最も多い群で糖尿病発症リスクが0.73(95%CI 0.54から1.00)倍(全魚介類)・0.68(0.50から0.92)倍(アジ・イワシ・サンマ・サバ・ウナギなどの小から中魚)に有意に低下していた。女性では有意差がなかった。
オッズ比(魚介類飯摂取量/日:中央値)第1四分位群第2四分位群第3四分位群第4四分位群
男性 全魚介類(p for trend 0.04) 1.00(37グラム) 0.84(65グラム) 0.80(101グラム) 0.73(172グラム)
男性 小から中魚(p for trend 0.02) 1.00(5グラム) 0.86(12グラム) 0.82(26グラム) 0.68(48グラム)

コメント

海外での前向き研究では魚摂取量と糖尿病発症の関連性は負(*)や無相関であった。この研究は魚介類摂取量の多い日本人を対象とした初の大規模研究として意義が大きい。理論上は魚油により糖尿病発症抑制作用が期待されるが、環境問題の影響で水銀やセレンに汚染された魚を摂取するとインスリン分泌が低下して高血糖が引き起こされることが示唆されている。魚の種類(**)や調理法(揚げると魚油含量が低下したリ水銀濃度が上昇したりする)による糖尿病発症リスクへの影響も想定される。
本研究は観察研究であるため交絡因子を調整しきれない点や糖尿病診断が自己申告である点で妥当性は高くはないことに留意する。また、男女差(***)の機序も解明すべき課題である。

備考

(*) Diabetes Care. 2009;32:2021-6 (http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=380 など)
(**) Am J Clin Nutr. 2011;94:520-6.
(***)Am J Clin Nutr. 2011;94:543-51(中国では女性で有意なリスク低下を認めたが男性では認めなかった)

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