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Antidepressant medication use, weight gain, and risk of type 2 diabetes: a population-based study.

最終更新日:2011年12月8日

タイトル

抗うつ薬の使用により2型糖尿病の発症リスクが高まる可能性がある

著者

Kivimaki M, et al.

掲載誌

Diabetes Care. 2010;33):2611-6.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):就業年齢のフィンランド人(総数151347人・男性34%)
I(条件):抗うつ薬使用
C(比較対照):抗うつ薬非使用
O(アウトカム):2型糖尿病発症のリスクは影響されるか?

研究方法

デザイン:nested case-control study および コホート研究
盲検化:なし
追跡期間:4.8年・追跡率:100%

結果

・2型糖尿病を発症した851人と、種々の条件をマッチさせた対照群4234人との比較において、抗うつ薬の使用は高度のうつのないグループ(オッズ比1.93、95%信頼区間1.48から2.51)と高度のうつを有するグループ(オッズ比2.65、95%信頼区間1.31から5.39)のいずれにおいても糖尿病発症リスクを増加させた。なお、抗うつ薬の使用(オッズ比2.29、95%信頼区間1.85から2.83)と高度のうつ(オッズ比2.33、95%信頼区間1.74から3.12)も糖尿病発症リスクと有意に関連していた。
・抗うつ薬を6ヶ月以上継続服用した群9197人と、前述の条件をマッチさせた非使用群45658人を比較したところ、5年間の糖尿病発症率に有意な用量依存性を認めた。
・4年間の体重増加は抗うつ薬使用群で平均2.5キログラム、非使用群で1.4キログラムであった(p<0.0001)。
抗うつ薬用量(6ヶ月以上服用)非使用低用量高用量p for trend
糖尿病罹患率 1.10% 1.70% 2.30% <0.001

コメント

近年、抗うつ薬の継続的な使用が2型糖尿病の発症リスクを増加させる懸念が着目されている。しかし以前の研究では対象者数や抗うつ薬に関する情報が少ないことや糖尿病に関係する生活習慣の調査や観察期間、体重などのデータが必ずしも十分でなかったことにより確実な結論には達していなかった。本研究はそれらの欠点を補い、うつそのものの影響と抗うつ薬による影響の両者を分析している点で斬新であり臨床的意義が大きい。我が国においても同様の解析が行われることが期待されよう。
ただし、本研究の一部はcase-control研究であること、信頼区間の幅が広いことなどから妥当性・信頼性(再現性)は高くはないこと、また、臨床的には絶対リスク増加は大きくはないことに留意する。また、糖尿病発症機序(体重増加を含む)が究明されていない点でも医学的妥当性は低下する。

備考

(*) Diabetes Care. 2009;32:2021-6(http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=380 など)
(**) Am J Clin Nutr. 2011;94:520-6.
(***)Am J Clin Nutr. 2011;94:543-51(中国では女性で有意なリスク低下を認めたが男性では認めなかった)

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