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Sustained hyperglycemia among patients with diabetes: what matters when action is needed?

最終更新日:2011年4月5日

タイトル

血糖コントロール不良の原因は多因子性である

著者

Lafata JE, et al.

掲載誌

Diabetes Care. 2009;32:1447-52.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):経口糖尿病治療薬単剤服用中のアメリカの2型糖尿病患者(総数5070人・平均年齢60歳・男性52%・SU薬使用52%・メトホルミン使用45%・服薬遵守率83%・平均HbA1c 8.6)
I(条件):患者・医師・医療システムに関する諸因子あり
C(比較対照):該当諸因子なし
O(アウトカム):高血糖持続(HbA1c>8%が90日以上の間隔で2回認められ,その間HbA1c≦7%または薬物療法強化がない場合)となるか?

研究方法

デザイン:コホート研究
盲検化:なし
追跡期間:平均4年・追跡率97%

結果

追跡調査期間中,1386名の患者に高血糖持続する期間が認められた.高血糖が持続する前に経口併用療法の調剤を受けていた患者は、1/3を上回る程度であった.経口剤による単独療法において高血糖が持続する主要因は高齢・黒人・SU薬・HbA1c>7%であった.高血糖持続患者が適切なケアを受ける主要因は収入・薬剤自己負担額・服薬遵守率・受診頻度・HbA1c≧11%であった.
要因年齢黒人SU薬HbA1c>7%
ハザード比 1.89 1.19 1.47 2.44から5.97 (HbA1c高値ほどHRも高値)
95%信頼区間 1.27から2.83 1.05から1.36 1.30から1.66 1.88から7.66

コメント

本研究は患者・医師・医療システムの各面から同時分析している点で臨床的に斬新であり意義が深い.ただし,観察研究であるために関連性が示されたものの直接の因果関係は究明できない点に注意して解釈する. 
本研究により、臨床の場でHbA1cが高値ながらも適切な時期の適切な治療変更が行われていないケースが多くあることが示された。本邦と米国では人種分布・収入・医療システム・保険制度などにおいては背景が異なるため本研究の結果をわが国での臨床にそのままあてはめることはできないが、年齢や治療開始時のHbA1c、患者の収入、自己負担額、高血糖持続を呈する前の治療(併用か単独か)、医師や患者の適切な治療に対する心理的障壁等の項目と治療の質との関係性に関しては大いに参考にすることができる。薬物治療による血糖コントロールの改善には、このような多様な因子を考慮した臨床的、政策的介入が有効であろう。

備考

(*) Arch Intern Med. 2010;170:1745-51. http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=374

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